高速DBエンジン付きEUCツール (ザ・ターボシリーズ)


一昨年6月に当コラムでDayDa.Labooという高速DBエンジンを紹介しました。その後、開発・販売を行うターボデータラボラトリー社(TDL社)と交流が始まり、銀行のCIOを対象としたセミナーなどで実演をしてもらうことが3度ほどありました。参加者の反応は一様で「何だこれは?どうしてだ?」から始まって、最後は「自分達がやってきたことは何だったのか?」というものです。

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銀行の勘定系や大手証券会社の業務系などで使えないかという希望もありましたが、既存DBとは構造が違うことやIO関連機能が弱いので、既存システムに組みこんだり、リライトするより新規開発の方が早いため、全面的に採用する金融機関は希でした。大手カード会社などで大規模DBから必要データを抽出・分析するサブシステムで使われている状態です。製造業では、部品管理のような基幹システムで使っているところがありますが。

CIOの中には、TDL社のようにベンチャー企業のソフトを使うことに不安を表す人もいますが、筆者は「昔、RYOでFCPを開発していたことを考えれば無視できる問題だし、特許の固まりではあるがソフトとしては余り大きなものではないのでバグの心配もないから、開発ベンダーの継続性を気にすることはない。」と言います。別に販売代理をしているのではないのですが、どういう訳かDayDa.Labooの肩を持ってしまいます。

弱点として、他DBからデータを取り込む際のローディング・タイムが遅いことや、出力関連の機能が不足していることがあります。ローディング・タイムは全面的に解決されましたが、他システムからのデータ取り込みは、ODBCかCSVによる一方向方式となります。最大の問題は、オンメモリー処理ですので、ファイルの揮発性ということになります。ただ、処理速度が極めて速いので、仮にディスクが故障した場合でも再処理した方が、在来型のファイル・バックアップ処理より速いのです。このことを理屈では判っても、得心できないCIOの多いことは妙な話です。

このDayDa.Labooという高速DBエンジンのデモ用ツールとして開発されたスプレッド・シートでLIFITというソフトがあります。一昨年、私が「エクセルのお化け」と評したソフトです。EUCツールとして極めて強力だと思います。TDL社は、LIFITをザ・ターボシリースとして昨年から販売を始めました。200万あるいは500万行のデータ(最大512列)を超高速で処理します。それは当然でして、DayDa.LabooのDBエンジンを内蔵しているのです。それで購入価格は19万円から48万円(ODBCなし)です。アクセスとエクセルのユーザーで、処理速度に苦悶している人には、地獄で仏でしょう。

利用者によっては、エクセルに比べて関数機能や出力機能が弱いと言う人がいます。RDBでないので、時系列を含めた三次元ファイルとしての使い方が面倒だという人もいます。私は、「あまり贅沢を言ってはいけません。CSVでデータを取り込み、大量データの前裁きをしてから、エクセルやSPSSに吐き出して、統計処理や出力用のお化粧をしても十二分の効果があるでしょう。部門で1セット持っていて、前裁き専用に使っても採算効果とストレス解消に役立ちますよ。」と答えます。システム部門としては、要求されたデータをCSV等で提供する仕組みを作るだけです。バッチ・ジョブが大巾に減ります。ただし、ユーザー部門の機密情報管理は一段と要求されますが。

筆者も金融機関の財務関連データを貯えておき、分析に必要な項目を抽出する使い方をしています。簡単な計算であれば、ザ・ターボで全てを実行しますが、関数計算をしたりグラフ化する場合には、エクセルにデータを飛ばします。エクセルで、シートを開くのに都度、長時間待つ必要がないので快適です。何よりも思考を継続できるのが助かります。慣れたユーザーは、マクロを組んで、定例処理を行っています。複数のツールの長所を活かした使い方が、コストを抑制しながら、ユーザー満足を高めるのに必要です。日本にも、目を疑うほど素晴らしいソフト・ツールがたくさんあります。ネガティブ思考だけでなく、ポジティブ思考もしないと、収益貢献型IT利用の時代についていけません。ブランドに頼るだけでなく、トライアルを通じて技術の目利き力を鍛えるべきでしょう。常に百点満点を目指していては、何もできません。ユーザー部門から見放されます。