メタデータドリブンのノンプログラミング・ツール(ODIP)


銀行出身者によるISV[株式会社インテリジェント・モデル]のODIP(Ontology Driven Information Processing)という製品です。http://www.imkk.jp

異名同義・同名異義のデータが分散・重複する複数のサブシステムから必要なデータを集約加工するような新アプリの開発、バッチ・システムの整理・統合化、データモデリングのツールなどとして利用できるでしょう。一般に、文書化されていてもその理解が難しかったり、変更が反映されていないことが多く、既存の複数システムを連携させて新アプリを作るには非生産的な作業が大量に発生します。それを一定のメソドロジーで整理してくれれば、随分と楽になります。

ODIP(オーディップ)では、既存・新規のシステムにおける入力データ、加工内容(演算式など)、出力データ、ユーザービューの出力イメージを入力すると、メタデータとしてレポジトリーが自動生成されます。その際に、中間DB,DWH、DMスキーマ、DDLに加えてJOBネットフローも自動生成されます。

次にレポジトリーの内容が解析され、データ入出力、データ構造変換、コード変換、導出演算、カテゴリ階層演算、時系列更新・演算などの処理が行われます。更に、カレンダー管理とデータ自動リカバリーを実施し、JOBネットフローを管理しながら、ソースデータを加工して必要なデータマートを作成してくれます。プログラミング知識は必要ありません。業務知識が必要なだけです。

筆者は、これからのITサービスにおいては、製品知識よりも(それでコンサルタントと名乗る人もいますが、製品の盛衰と共にする提言ではコンサルにならないと思っています。)業務知識やモデリング技術のある人々がリードすると信じています。ODIPのようなツールが出てくると、アプリやモデリングの技術者は数段に生産性が高まるでしょう。その結果、彼らの重層性が認知されることになります。

EAIなど複数システムからのデータ抽出用ツールは数多くあります。また、ODBCやCSVなどデ−タ取り込み機能をもった超高速DBエンジンも普及しだしました。ところが問題は、データの整理・モデリングに費用(通常はモデリングに精通した外部技術者が必要)と時間がかかってしまうことです。データやコードの変換プログラムを開発しても、その維持にまたまた労力が取られます。新アプリの寿命が極めて短くなってしまうのです。

これまで、数多くのノンプログラミング・ツールを見てきました。20年以上も謳い文句と現実とのギャップに裏切られてきましたので、昨今ではベンダーのセールストークを殆ど信用しません。しかし、本心では、やがてノンプログラミングが実現する時代が来るだろうとも思っています。無条件に期待するのではなく、また、複数システム間のリアルタイム自動連携を求めるのでなく、使用条件を限定すれば充分に効果の期待できるツールは実現可能と思います。

ODIPは、大手銀行で大規模DBプロジェクトをリードした技術者が開発したツールです。銀行が必要とするデータの切り口を徹底的に分析・理解した上で、データの定義・モデル化・加工方法を想定してツール化しています。さらに、やはり銀行出身者達が設立した別のISVが、ある銀行の収益管理システム開発に使用して、極めて高い開発効率を証明しました。40人月弱の負荷だけ(実質ノンプログラミング)で、収益管理システムを構築したそうです。パッケージを導入して、データキャプチャの仕組みを作るよりは数段に早くて安いといえます。

そのISV[株式会社シー・エス・ソリューション]http://www.cssol.co.jpによれば、銀行も大手ハードベンダーもフロント系のオンラインに資金労力を投入するものの、バッチは長い間捨て置いてきたと言います。筆者も全く同感です。フロント系の開発の目安が立った時点でバッチの手当てを忘れていたことに気付き、稼動を延期するというブザマな事例を幾つか聞いたことがあります。稟議が通ったプロジェクトで、忘れていたバッチ関連の予算を追加申請して全プロジェクトが凍結された事例もあります。全体ITアーキテクチャの一環としてバッチを見直す必要がある一方、現実の緊急課題であるバッチの整理をどうするかは大問題です。根本的解決には全面再構築しかありません。現在のバッチを少しずつ整理統合しつつ、新技術の恩恵を受けようとする場合には、便利な解決策となるでしょう。

ODIPはUnixサーバ、WinベースのPCサーバで稼動できます。オープン系という共通基盤があればこそ、こうしたツールが大手ベンダー以外でも製品化できます。銀行のIT部門は、中小ベンダーだという理由で事業・製品サポートの継続性を不安視します。毎日のようにマスコミに登場する大手ベンダーでも簡単に製品の更新・保守を止めますし、場合によっては市場から脱退してしまいます。そもそも、彼らにバッチ関連の経験ノウハウは不足(ベンダーによっては欠落)しています。ITベンダーの暖簾や事業継続性も大切ではありますが、技術を自社に取り込んで利用し続けるケイパビリティを持つことがユーザー企業のIT自立の前提です。IT丸投げだけの企業に、ITを使った戦略的選択肢は皆無です。ツール製品を、自社ITケイパビリティの強化・補完エイドとして位置づけるべきでしょう。その点では、IT部門よりもユーザー部門の方が進歩的です。