国産ERP(ISS社のISS−PACK)

 

ERPのコンセプトそのものは、全く正しく、導入できる条件が揃えば是非とも採用したいと誰もが考えることでしょう。筆者は SAP社が日本に参入した時から、R3を継続的にフオローしてきました。金融業界で欧米系ERP導入の実績がほとんど皆無である理由としては、

◇    余りに総合的なるがゆえに、既存レガシーとの並存が難しい。

◇    サブシステム的使い方をする為には高額になりすぎる。

◇    日本の金融向けフレームワーク、コンポネント、データモデルが不充分である。

◇    その割にプロセスは、ERPにほぼ全面的に合わせる必要がある。

◇    コードを公開しないばかりか、著作権によるユーザーの制約が多すぎる。

◇    SIerのコンサルテイングSE料金が余りに高額すぎる。

◇    成果物におけるSIerの利益が殆どない。

◇    一度、導入すると他ソリューションへの移行障壁が高すぎる。

等々、欧米的著作権の考え方が日本に馴染まないことが根底にあるようです。

DBMSにおけるSybaseのような製品が出てこないかと思っていましたら、最近急速に中堅製造業や流通業に採用されだしたBSS−PACKという製品がありました。インターナショナル・システム・サービス鰍ェ販売しています。

http://www.bss-net.co.jp/

http://www.issk.co.jp/

製品機能としては、業務部品型アプリケーション基盤を提供するもので、DBMSインタフェース、業務処理(部品)、ユーザーインタフェースの三相から構成されます。

DBMSインタフェースは、Oracle、DB2、SQL、Sybaseを対象としVC/SQLで作られています。ユーザーインタフェースは、VC/VB、HTML、JavaScriptで対応しています。業務部品は、徹底的に正規化したデータモデルと伝票処理を単位とした業務部品(約1700)が提供されます。各相はTCP/IPソケットで連携しています。

ポイントは、アプリの体系化と部品化でしょう。業界筋では知られたBSS社のエンジニア・チームが開発しています。アプリケーションに対して共通の基盤を提供していますので、段階的導入・移行が可能です。また、先に言いましたように独立した伝票単位の部品を提供しますので、保守管理が容易で、ルール、イベント、フロー等のカストマイズも簡単です。VC/VBなどの必要技能があれば、数日の研修で作業に入れるそうです。

この製品の興味深い点はビジネスモデルです。価格はクライアント数や使用環境によりますが、1クライアント当り15万円前後のようです。つまり中規模以下の企業を対象に絞っています。確かに、この層に対するERP製品はありません。オープンビジネス、オープンソース、オープンデータベースを謳っており、特にソースコード、DB設計を公開する点は欧米系と決定的に違います。また、使用権を販売するのみでなく、ユーザー企業かSIerが加工・追加した機能はその著作権を認めます。SIerの場合は協業商品として登録することで、BSS−PACKの1部品として販売できることになります。つまり、開発業者が協力して部品の厚みを増すという協業型アセットベース・ビジネスを追求しているようです。中には、同社から購入して多少のカストマイズを加えて、自社ブランドで販売しているベンダーもあるということです。欧米的な排他的、独占的ビジネスに比べると、何とも日本的な戦略ですが、中小ソフトベンダーが、欧米ソフトベンダーとの商品競争や、元請ベンダーからの値引き要求に応えながら、レーバーベースビジネスから脱却するには適した方法でしょう。

金融業界では、信金信組や保険代理店など中規模以下の業態もありますが、価格の安さを考えれば、部門システムなどにも使えます。エンタプライズアーキテクチャが定まっていれば、他システムとの整合性を確保しながら全体最適が可能でしょう。また、今後、増加する企業再編における経理決算処理や人事管理など、緊急かつ一時的なシステム対応にも有効でしょう。