銀行オンライン障害 (りそな関連報道)


3月1日に合併したりそな銀行は、発足当日にコンビニATMや口座引き落としでトラブルを起こしました。その際の一部新聞の報道姿勢に対して、批判的なコメントを当コラムに書きました。

数社のマスコミから問い合わせを受けましたが、どこも「構造的な障害ではなさそうだが、影響が広がる可能性はあるだろうか?」というものでした。一年ほど前のみずほ騒動の時とは、様変わりの取材姿勢です。りそな側が、積極的に状況開示を行ったので、発表内容を信じてもらえたのでしょう。しかしながら、記者達にとっては、障害原因を技術・実務面から理解できず、銀行発表を鵜呑みにもできないので、関係者達に確認取材を行ったということです。

3月24日の旧あさひ銀行ATMが午前中停止した時にも、合併銀行の障害というよりは、全日空や航空管制システムと同様に、公共的システムの障害発生という報道でした。おりしも、日経コンピュータ3月24日号では、ビズテック局の谷島編集委員が担当コラム“情識常識”で「りそなのシステム再編は偉業」という意見を掲載していました。運悪くも発刊日に、大規模なトラブルを起きたのですから、谷島委員も困ったことでしょう。谷島さんは、最近、Biztechのサイトで、「銀行オンラインで障害を無くすことはできない。ノンストップにするには巨額の投資が必要となる。顧客としては、その費用を受益者として負担するか、複数口座を使い分けて危険分散を図るべきだ。」と主張しました。この意見には、多くの賛否両論が寄せられており、なかなか面白い議論が行われています。すぐに結論が出るテーマではないでしょうが、言うべきことを言えない立場の銀行に代わって、国民経済的視点から、議論を引き起こすことは大事だと思います。

一般預金者や多くのマスコミは、銀行の性悪説を前提に、不良債権をなくせ・利益をあげろ・サービスを良くしろ・リストラしろ・店を減らすな・給料下げろ・金を貸せ・手数料を下げろ・オンラインを止めるな…と自由主義経済らしからぬ要求を続けています。それに対して行政は、ポピュリズムの姿勢を強めています。行政に生殺与奪権を握られている銀行は、右往左往するだけです。まるで幼児のサッカーゲームのようです。これでは、金融構造改革なぞできる訳がありません。市場原理に逆行する動きであって、中華人民共和国の銀行の方が自主経営しているのでは?などと考えてしまいます。

話をりそなに戻します。りそなのシステム再編は、みずほの場合よりも数段複雑です。全ては経営戦略からくるグループ体制の再編から発生しています。まずは、近畿大阪銀行の統合から始まりました。そこに奈良銀行の参加、信託部門の分離、あさひの参加による埼玉りそな分割とあさひとのシステム連結です。これからも3、4年はシステム再編作業が続きます。その最初の山場が、3月1日からのあさひとの連結だったのです。それが、些細な人為的ミス(といっても、新しい処理手順を徹底できていないことは、合併にともなう事務障害であることに違いはありません)によるシステム障害を起こしただけですから、谷島さんの言う「良くやった、偉業と言えますよ。」というメッセージはその通りで、担当技術者達の励ましにもなるでしょう。

ただ、懸念されることはシステム再編に精力と資金を使っている間、新しいサービスや商品への対応はどうするのか?ということです。それが、まだ数年続くのです。また、旧大和、協和、埼玉を始めとした多くの銀行からIT部門が集まっていますが、各行ともにIT文化と水準に大きな違いがあります。「弱い味方は強い敵より始末におえない。」という軍事セオリーがありますが、それが現実にならないかということも懸念材料の一つです。今月の一連のトラブルをみると、旧あさひ内のコミュニケーションに不備があるように思えます。

ちなみに、3月24日のトラブルは、バッチ処理突き抜けが原因との報道がありました。旧あさひのバッチが突き抜けたのであれば、窓口などが稼動するのは不自然です。旧あさひのATMだけが止まって、他は動いているのですから、ATMサーバーか、ホスト側のインタフェース・モジュールに原因があると考えるのが自然です。それも、昼過ぎまで開局できないのですから、原因が掴めないのか、ファイルかテーブルを壊したのかと考えます。結局は、バックアップ・システム用プログラム更新に手間取っている間に、開局時間となってしまい、各店からの開局要求が輻輳してATMサーバーがフリーズしてしまったことが判りました。不適切な運用管理と叱られても仕方ないでしょう。DASD障害などで、ナイト・バッチが朝を突き抜けたという事例は結構ありましたが、予備システム用プログラム更新で、それも、三連休明けに…となりますと、運用体制を見直す必要があるように思えます。確かに、合併時のシステム再編に起因する構造的障害ではないでしょう。しかし、どんなに良いシステムもきちんと運用されなくては自慢できません。最近の銀行システムは、運用を軽視する傾向があるように見えます。オペレーション部門に無理を強いるようなシステムは、結局は良いシステムとは言えません。運用の作業ミスが根本原因ではないように思います。