デジタル通貨とスイカ連結(3メガ・JR東などが検討)


日経新聞の令和2年6月3日夕刊記事です。4日の朝刊には詳細な記事が掲載されていました。メガバンク3行、セブン銀やNTT,KDDIなどが、デジタル通貨の基盤整備の為に協議会を発足させた。9月までにマルチ決済の連携標準を議論して取りまとめる。テーマとしては、@相互利用のプラットフォーム A安全性強化(ブロックチェーンなど) を考えている。事務局をIIJが務め、座長には元日銀決済機構局長の山岡氏といった内容です。。

この記事を読む限り、当協議会の目的は、各種電子決済の相互利用が柱で、その中核にSUICAが置かれると理解できます。すると、何故、IIJ子会社のディーカレットが事務局なのか、どうして、JR東や銀行や通信のビッグネーム各社が参加するのか、オブザーバーとして金融庁、財務省、総務省、経産省、日銀を集める力がIIJにあるのかなど、数々の疑問がわいてきます。電子決済をライフワークにしたように見える山岡氏をIIJが担いで、参加企業を集めたのだろうと推察します。

SUICA自体は、首都圏で圧倒的な普及と利用を誇っており、JR東にとって小規模店舗など加盟店不足を補充する以外にさしたるメリットがないのではないか?スマホSUICAが普及しないので提携でカバーしようと考えたのか?銀行口座からのチャージを便利にしようと考えているのか?などと思いました。筆者は、電子決済では殆どSUICAを使っています。スマホではありません。カードです。店頭でアプリを起動させるなど面倒だからです。オートチャージーも使いません。危なくて仕方ない。駅でSUICAクレジットからチャージすれば済みます。

仮に、流通系など様々な電子決済手段が相互利用できるようになって、誰が喜ぶのか?加盟店は本当に、決済サービス別に端末やアプリを用意せずに済むのか?顧客は、参加する決済の一つに加入すれば、どの決済でも使えるのか?ならば、IYや楽天などがキャンペーン期間中だけ当該決済を使いたい。SUICAでnanaco決済したら、決済処理はどうなるのか?ポイントはどうなるのか?今はIYの店でもスイカで支払っているが、不都合は何もない。個人的な希望を言えば、nanacoもWAONもLINEもみな、SUICAが吸収してくれれば、一番スッキリする。nanacoメインの主婦であれば、nanacoでJRに乗りたい。

電子決済の標準化は、銀行業界やクレジットカード業界、そして経産省などが議論して案をまとめているではないか?今更、集まって議論しても何が出てくるのか、実行するか否かではないか。と、いろいろな疑問が湧いてきて、どうもこの記事は怪しい、こんな大きな扱いをするような話ではなかろうと感じます。最近の記者は、読者、即ち、利用者の目線ではなく、発表者のいうままに記事を書く傾向が強い。それでは、まさに社内報になってしまう。それとも、ディーカレットの誰かの説明ミスか、記者の思い込み記事か。

4日のWebニュースで、ディーカレットの時田社長と山岡氏の記者会見が報道されていました。協議会というよりは、「デジタル通貨勉強会」という勉強会で、そもそも論を含めて幅広く意見交換をする場にするそうです。日本は技術者もノウハウもあるが、連携できてないという問題認識があり、民間企業の連携を促すことが目的だそうです。

デジタル通貨とSUICAの連携を進めるとの報道に関しては、特定事業者同士の接続を協議するものではないと説明しています。オブザーバーとして名前を上げられた省庁は、議論に参加する訳ではないとも言います。これで、日経記事への疑問は解消しました。残る疑問は、名を上げられた企業や省庁には、事前確認を取っていたのかくらいです。当事者以外にはどうでも良いことですが。「民間企業の連携」とは具体的にどういうことか、既に提起されている各種のプラットフォームやデータ活用の標準化案が採用されない理由は何で、それを打開する目安があるのか?などは、9月の勉強会成果を待ちしましょう。

7月からマイナポイントの申込みが始まります。今回の10万円現金給付手続と同様に、オンライン申請が政府の希望通りに進むかは疑問ですが、申込みに際して指定できるキャッシュレス決済方法は一つだけとなります。申請者は、使用頻度の高い決済サービスから選ぶか、または、高額決済の1回で還付上限の5千円を使いきるか。いずれにせよ、マイナポイントに登録されるかが、メイン決済の地位を得る分岐点となりそうです。国による還付事業はこれからも多発するでしょう。電子決済サービス事業者が、基本理念を語り合う勉強会に参加している時間の余裕があるでしょうか?

                                               (令和2年6月4日 島田直貴)