マイナンバーの一体化 (経団連などが要請)

令和元年11月4日付の金融経済新聞です。自民党のデジタル社会推進特別委員会で経団連、新経済連、日本IT団体連盟などが、マイナンバー普及に向けて要請しました。政府のマイナンバーを中心とするデジタル社会推進施策を支援する委員会の審議内容です。マイナンバー関連の他にオープンイノベーションを推進する為の税制やベンチャー育成、書面交付義務の緩和、公的手続のワンストップ化、地方自治体の住民サービス関連システムの標準化(現在の個別システムの中央政府による買い上げ等)に関する幅広い要請が並んでいます。

幅広いということは、デジタル社会化における課題がいかに多様で難しいかということを意味しています。何かインセンティブがないと進まないということでしょう。最たる例はマイナンバーです。2016年1月の交付開始から3年7カ月たった今年7月でまだ、13.5%の1727万人しかカードの交付を受けていません。かくいう筆者も受けていません。理由はメリットがないからです。多少は役所などの手続きが手軽になるのでしょうが、そもそも役所の窓口に行く機会は数年に一回あるかないかです。その為に、平日、役所に2度も出向いて面倒な手続きをする意味が個人的にはないのです。

国の行政効率などを考えれば、我々は交付を受けるべきなのでしょうが、今の状況は、むしろ、マイナンバーが国や地公体の行政負担を増しているようです。それでも、今年6月に政府は5500万枚のカードを追加発注しました。4年前に5千万枚の製造手配をしたので、まだ3千万枚以上在庫があるのに、何を考えているのかと怪訝に思っていました。世間のマイナイバーに対する関心は低く、報道されることも殆どありませんでした。

政府与党は、2023年3月には殆どの住民に交付することを目標に掲げました。毎年1700万枚交付するペースになります。現在の年間交付は280万枚です。その為に最も効果が期待されているのが、マイナポイントです。自治体ポイントとリンクさせて数々の優遇策を提供しようとするもので、当制度の当初から構想がありましたが、今回は、プレミアムを25%とする計画が検討されています。時期は、消費増税の還元期限である来年10月(当初計画は7月だったが準備が遅れている。)が予定されています。詳細は総務省曰く、現在検討中だそうで、いつまで国がプレミアム負担を続けるかも未定です。

総務省の計画実行力を信用できるか疑問ではありますが、この25%は大きい。その効果は消費税増税に伴うキャッシュレス決済還元策の成果を見れば歴然としている。経済学的な問題はあるのでしょうが、消費者にとっては使わない方が馬鹿というプレミアムですから、一挙に普及が進むでしょう。年寄りを役所に送迎する有料ビジネスが一時的に流行るだろうなどと思ってしまいます。

マイナポイントの仕組みは、一般個人には少々、判り憎い。しかし、自治体ポイントに相乗りする形を取る以上、仕方ないでしょう。自治体ポイントを利用するメリットは地域経済活性化にあります。マイナポイントを利用する為には、マイナンバーカードの発行を受けて、その際にマイキーIDを取得してマイナカードに設定します。(カード交付後の設定も可能です。)このIDが国の補助金であるプレミアムと自治体ポイントを紐付けます。

その自治体ポイントですが、タイプは二つあります。第一に、クレジットカードのポイントや航空会社のマイレージなどを自治体ポイントに変換する方法です。地域経済応援ポイントと呼んでおり、クレジットカード会社(三菱UFJニコス、三井住友カード、JCB、クレディセゾン、UCカード、オリエントコーポレーション)、航空会社(日本航空、全日本空輸)、電力・通信(NTTドコモ、中部電力、関西電力)などです。もう一つは、各自治体が自己財源によってポイントを付与する方法で、ボランティア等に行政ポイントを付与したり、自治体からの補助金給付に利用します。現時点で発行していない自治体もあります。マイナポイントは、この自治体ポイントに25%のプレミアムを載せて、利用者が地域の商店街などでの買い物に利用できます。

自治体同士が提携してポイントの交換や相互利用ができるようになるかも知れません。当然、企業などとの提携も広がりますので、地域マネーのような存在に発展する可能性もあります。余り普及すると自治体や政府の財源問題となるでしょうから、交換率などが変動制になることも考えられます。現在でも自治体ポイントと提携する銀行はいくつかあります。りそな銀や大垣共立銀などが知られています。各行独自のポイントを該当する自治体ポイントに変換できます。こうした、ポントサービスや地域ポイントは、マイナポイントによって自治体ポイントの数多い提携ポイントの一つとして埋没するでしょう。

金融機関としては、マイナポイントを契機とする変化にどう対応するかを考えておかないとなりません。まずは、マイナポイントとの連携策です。独自性をいかに出すか。第二は、マイナカードが普及した時点で、マイナンバーをどう利用するかです。当然、預金口座との紐付けは義務化されるでしょう。その結果、預金の集中が始まるかもしれません。後ろ向きな制度対応ではなく、KYCの拡充機会と考えるべきです。総合金融サービスを展開したり、世帯取引の拡大などの機会になる筈です。

             (令和元年11月5日 島田 直貴)