出そろう小学生向けプログラミング教材

日経XTECHの令和1年9月18日付記事です。同紙がグーグル、NTTドコモ、DeNA、アップルの教材を比較紹介しています。どれもプログラミングというよりは、AIを使ったゲームやロボットを通じて興味を持たせることを主眼とし、プログラミングの概念を理解し簡単なロジック組み込みなどを体験できるようにしています。詳しくは同記事と各社のWebサイトでご確認願います。

知人達と小学校でのプログラミング教育の話になると、今の教員に教えられる筈がないとか、むしとIT嫌いを増産するのではないかと心配する意見が圧倒的です。根っこに文科省とその指針に準ずる教員達への不信があります。筆者もその一員で、「英語と同じだよね、文法から入ったらつまらないのは当たり前。アニメ動画で面白可笑しく繰返して、文法は仕上げだと思う。」などと言っております。この記事で紹介された各教材の概要を見て、大分安心しました。

歴史もそうですが、今の状況に至った理由は何かとさかのぼっていくとストーリーになり、納得感もあって覚えられる。それを、やたら年表と固有名詞を覚えろ、それをテストするなんてやったら、つまらないこと極まりない。筆者も歴史は嫌いでしたが、さかのぼり方式で勉強しなおしたら、大好きになりました。英語は手遅れでしたが。ただ暗記するだけで、聞けない、話せない。外資系に長く勤めましたが、後半はメールが主体だったので助かりましたが、電話会議などは疲れ果てました。

プレゼンで注意すべきは聴衆の関心、目線に焦点を合わせることです、更に視野を広げ、視点を少し上げて、全体における論点の位置付けを明確にすることで、一人一人が自分のストーリーを描ければ、ベストなプレゼンになります。その点で講演は難しい。テーマは一つでも関心事項、目線、現有情報・知識が千差万別ですから。そこで、具体例を紹介して、複雑なことを単純化し、重要と思われるエンティティを羅列します。それに重要度をつけながら個人的見解などを説明することになります。

近頃、少し下火になったような感じがしますが、働き方改革がブームです。IT企業の大半がセールストークに使っています。私は労働時間短縮から始まるベンダートークには耳を傾けませんが。この運動は、仕事で期待される成果は同じでも、勤務時間を中心に勤務環境が大幅に制約される結果になることが多い。じっくりと準備、考察して成果物を作ることが、難しくなりました。社内研修も集合方式が減り、Web研修が中心となりました。それもスマホで15分単位です。簡単料理のレシピを勉強するのなら大丈夫でしょうが、金融の事務や商品の仕組みがそれで理解できるとすれば凄いことで、筆者などとても無理です。昔、産業構造が重厚長大から軽薄短小に変化しているなどと表しましたが、人の知識や思考方法が軽薄短小になるとすると怖い話です。

金融ITの空洞化や劣化に警鐘を鳴らして大分時間が経ちます。いくら騒いでも、悪化の傾向は止まりません。気がつくとわが国金融ITは30年前の世界一流から三流に落ちました。金融業界もIT産業もOECD平均労働生産性の60%台に落ちました。これが止まりません。一方で、GDPの60%超を占める一都3県以外の経済力や基礎力も落ちる一方です。回復するには生産性を上げるしかないことは誰でも判っています。生産性は国や県が、いくらキャッチフレーズを並べて、予算をつけようが上がるどころか逆効果です。働き方改革も同じだと思っています。

ありたい姿、目標、それに至る方法、道具としてのIT、そして何よりも人材です。当コラムでも繰り返して提言していますが、全行員プログラマー化と地域IT専門要員の育成プールを目的とする地域IT専門学校などが必要だと思っています。それを具体化するには、カリキュラムと教師が大前提になります。まずは、カリキュラムを作りたいのですが、これが難しい。理想形は書けるのですが、具体的な内容が整理できない。難しいことを簡単に表現するには、こちらのノウハウが余りに不足しているからです。そこに、当記事が紹介する4つの小学生向け教材を知りました。他にも有力な案がありそうです。仲間とチームを組んで咀嚼してみたいと思っています。

昔、出向先のトップから、通信回線の速度(2400BPSとか64Kとか)はどうやって制御しているのかと質問を受けました。筆者は通信に弱くて判らないので、大手通信業者からの出向者に聞きました、判りません。彼らが自社の研究所に問い合わせました。回答は難しくて理解できません。つまり回答にならない。ある日、小学生の息子用の理科図鑑をみていたら、なんと図解入りの判り易い説明がありました。そのトップに子供の図鑑で解を見つけましたと報告したら、その人はとても嫌なというか当惑した顔をしていました。通信企業からの出向仲間には言えませんでした。我々は、本当には理解していないのに判ったつもりでいる。この経験は、その後の筆者に大きな教訓となっています。

IT人材の育成は小学校向けの教材から考えよう、これをIT専門学校の入門編にしようと決めた次第です。そこで教育した人達が現場目線でアプリを作るのです。車を作ることは専門家に任せ、ビジネスに携わる我々は、それを運転して好きな所に必要なものを持って移動すれば良い、それがアプリだと思います。そして生産性に繋がる筈です。

                            (令和元年9月24日 島田直貴)