システム統合 (明治生命)

明治生命と安田生命は、2004年1月に合併を前倒しすることを発表しました。時期を3ヶ月早めた理由は、現場の交流が進んでいること、システム統合が2003年末までに完了することだそうです。(日経新聞10月18日号、日経金融10月21日号)

両社のシステム統合に関しては今年の1月にも取り上げました。みずほ銀行の統合トラブルが発生する前でしたが、日経金融新聞がシステム統合に要する時間と費用と業務変更時の混乱が合併効果を減損させる可能性があるとの記事を掲載したことに関連してコメントしたものです。顧客メリットや経済合理性から考えれば、当面は両システムを並存してフロントのみWebベースで統合すべきであろうと述べました。

両社は記事で懸念されたことを払拭して、社員もシステムも統合が順調であることを証明したということになります。これまでに公開された情報を整理すると両社のシステム統合の方策は以下のような構想です。

戦略目標としては顧客向けサービスの高品質化と早期融合を第一義とし、まずは営業支援システムの構築を先行させる。合わせて860万人の顧客を対象として2000の拠点、5万人の営業職員が顧客情報(基本情報、属性情報、契約情報)を共有できるようにする。

アプリケーションとしては、動画や音声を含めた大容量コンテンツにより顧客向けプレゼンテーションや営業職員の対顧客コミュニケーション、社内連絡に加えてeラーニングを可能とする。

ネットワークとしては、IP−VPN(128KBPS)ネットとADSL(最大8MBPS)を併設し、モバイル・ネットワークも導入する。ネットワーク・サービスにはリバンスネットの生保共同ネットを使用してセキュリテイを確保する。この結果、大容量のコンテンツ伝送や出先からのeメール通信も可能となる。

システム構成は、Web三層型(DB/アプリ/クライアント)で、「.NET」を採用。アプリケーション・サーバーには、60台のPCサーバーを使用している。ホストのアプリのうち、営業支援関連をWebアプリに移す。この体系は、日生などが既に導入しつつありますが、ここまでアプリをWeb化したのは大手生保では始めてでしょう。導入費用は60億円程度と推定されています。

稼動時期は予定通りに、10月から明治生命で稼動を開始、順次移行しつつ安田生命にも展開していく。つまり、契約情報さえ連携できるようになれば、チャネル段階でのシステム統合は完了するわけです。あと1年余りの時間の余裕があります。合併後の新規契約は、明治生命の基幹システムで対応することになるでしょう。保全事務は、各商品約款に付随するので契約が残る限りは二本立てとならざるをえません。事務規定を整理統合しながら、集中化して対応するのでしょう。下手に変更を加えるよりは安全、低コストであることは間違いありません。

以上のように両社のシステム統合計画は、単なるシステム一本化ではなく、前向きな業務改革を前提としています。また、オープン技術を使うことで、インフラとしても長期的に使用可能なものになります。合併を契機として新インフラを構築しているのです。

銀行の場合は、通帳やカードを合併時に一本化するためには、異なる専用端末機を統合する必要があり、その為にはホストの結合・統合が前提となってしまいます。銀行に比べると生保の契約は複雑・長期ですが、顧客接点は単純だというメリットを生かしていると思います。

合併時のシステム統合は、技術と業務の移行を最適化するというトップダウン方式のプラニングが必要なのです。通帳やカードの仕様から入ると大局を見失います。