IT共同化(損保代理店システム)

日経金融新聞(平成14年9月3日)が損保代理店システムの共同開発を行なっている3グループを紹介しています。

共同型損保代理店システムには、生保グループと三井住友海上によるISS(インシュランス・システム・ソリューション)と損保ジャパン・グループとミレア・グループの三つがあります。いずれも銀行窓販を睨んだ共同化です。つまり、窓販を行う銀行としては提携する保険会社を一社に限定することは考え難く、複数になります。各保険会社の代理店システムを別々に導入していたのでは、投資効率・事務効率の両面で不合理なので一本化しようという考えです。

保険の代理店には、専属と乗り合いの二種類があります。銀行は乗り合い代理店になることが多いでしょう。垂直統合型の営業事務を設計すれば、極端なケースでは三つのグループの端末機と事務を導入せざるをえなくなります。端末機をブラウザ方式にすれば、物理的には1台ですみますが、営業事務の一元化は不可能です。業績による代理店選別が進んでいるので、主要な代理店には保険会社内部用と同レベルの代理店システムも入れることになります。

Webサービス技術を使えば、もっと融通性に富んだPtoP型の代理店システムが可能となります。しかし、保険会社としては、代理店による保険会社・商品の選択を容易となることを警戒する意識もあるでしょう。元請から代理店までの垂直型の機能展開では、顧客と代理店に主導権が移ることはありません。代理店側としては、結束して共同ゲートウエイを作る必要が出てきます。そこで始めて水平型の機能展開が可能となります。

興味深い動きが二つ見られます。一つは、NRIが提供するサービスです。地銀共同の保険販売管理と保険会社連携機能を地銀共同で作って、共同ゲートウエイ経由で保険会社とつなぐものです。水平型というアイデアは良いのと思うのですが、顧客銀行がついたという話を聞きません。日本生命などのノウハウを取り入れているので業務処理機能に問題はないのでしょうが、野村系ということで銀行が警戒しているのでしょうか?それとも投信窓販システムのように顧客情報をシステム内にクローズにしてしまったのでしょうか?

もう一つは、日生です。同社の代理店システムの考え方は、実に体系化されています。契約管理、代理店管理、販売支援などのアプリケーションと、代理店タイプ毎のインタフエースと認証・通信用のゲートウエイなどにモジュール化しています。アーキテクチャーがしっかりとしているので、代理店毎にサービス機能のレベルを組み合わせることが出来ます。ISSはその一つのパーツだということになります。

このコメント・サイトで何度も繰り返して言っていることですが、ネットワークで顧客や代理店を囲い込むことは出来ません。ネットワークは日々、オープン化しています。選択権は顧客や代理店に移ります。保険会社としては、商品機能・価格/手数料・事務処理レベルなどで差別化するしかありません。
共同化して保険会社側のシステム開発負担を減らすことは良いことです。しかし、それ以上に代理店のメリットになる機能を組み込むことが重要でしょう。