日本RPA協会がRPA相談会を開催

平成29年2月7日付の日経ITProの記事です。昨年7月に設立された日本RPA協会が、2月7日に第一回RPAクリニックを開催したそうです。オリックスや日本生命といったRPA先行企業から事例紹介などが行なわれたとのことです。筆者が驚いたのは定員50名に対して300名の申込みがあり、抽選で80名が参加したということです。想像をはるかに超える申込数です。

金融機関の方々と話をしているとRPAそのものを知らない。金融では三菱東京UFJ銀だけが協会員で、2013年頃からRPAを導入し、一昨年の暮れには本格展開を始めました。日生やオリックスも以前からRPAを採用していると聞いていました。これらの会社のシステム部門管理者と話をしていて、RPAの具合はどうですか?と聞くと、誰一人、RPAそのものを聞いたことがないと言うのです。社内では知られていない。

米系RPAツールの情報を集めて、金融機関の方々に紹介したりするのですが、皆さん、眉つばという反応でして、イマイチ冷たい。その理由を調べると、RPA=ロボティック・プロセス・オートメーションという表現がよくないようです。ソフトウェアロボットはロボットではない、日本人にはロボットというと、鉄人28号に始まってPepperのような人型ロボットのイメージが強い。ベンダーは、その前提を無視して、人間がやる半ルーチン作業を、プログラムなしで自動化するなんて説明するから、怪しい技術だと思われてしまうというのが筆者の結論です。

日系ベンダーの皆さんは、総じてプレゼンが下手。相手の認識レベルや思考ロジックや価値観を考慮せずに、自分の都合で説明してしまう。その癖、自分は流暢に説明できると思い込んでいるので、プレゼン技術の研修などには参加しない。昔のIT営業は自腹で話し方教室に通ったり、英語もできないのに、英語のプレゼン研修を受けたものです。英語だと余計なことを話す会話力がないので、単純な論理展開だけとなります。だから、相手にわかり易い。研修で教わるのは、テクニックではなく、説明をする時の心構えやストーリーの組み立て方です。最近は需要がないのか、こうした有料研修は殆ど姿を消してしまいました。

記事のRPAクリニックに話を戻します。どんな層がRPAに関心があるのかと思って、協会の会員にどんな業種のどんな職種の人達が参加したのか聞いてみました。製造業のシステム部門と総務部門の中間管理職が多かったようです。それとIT企業やコンサルティング会社の皆さん達。やはり、金融関連は少なかったということです。

RPAはPCで資料を作ったり、帳票記帳をする時をイメ−ジすると判り易い。アプリケーション画面やシステム画面の操作ログを機械学習して、模倣します。繰り返して同じ作業をすれば、模倣の精度が高まります。その時にプログラミング(マクロを含めて)は必要ない。通常、RPAツールにはPCログを取り込む機能がありますが、操作ログを取る専用のツールもあるそうです。複数のアプリからデータを集める場合でも、RPAが各アプリにログインして、そこからデータをコピーしたり、何らかの処理をしてその結果を取り込み、最終的に必要なレポートを作成します。

このような作業は我々の身の回りで山のようにある。定型化されているようですが、アウトプットが少し違うとか対象データが異なるので、オンライン化したり、バッチ処理には向かず、開発コストの回収が見込めない。でも、AIが操作手順を学習すれば、後は自動処理化できるし、処理手順が変化しても、自動的に対応してくれる。企業の全労働時間の何%がこうした作業に費やされているでしょうか。

古い体質の会社では、PCに向かっていれば仕事をしていると思われます。キーボートを滅法速く叩けば、あいつは凄いとなる。でも、キーインミスでBackSpaceKeyの使用率ばかりが高い。RPA化するとこうしたオペミスは基本的に排除できる。ユーザー企業が、RPAを使いこなすか、それとも、BPO企業、特に、データ入力のBPOなどがRPA化を図るか。面白い競争が期待できそうです。ユーザーが自分でやった方が、コスト削減にはなりますが、RPAにも使い方の巧拙があります。BPO企業は、いち早く、RPA先進企業となって、お客を喜ばせることが、生存の道となるでしょう。

RPAツールの基本機能は、次のようなものです。クリック操作、入力枠への入力、コピー&ペイスト、アプリ起動、ログイン・ログアウト、ウェブサービスの参照、データベースへのクエリー発行などです。RPAそのものの定義も機能範囲も定まったものはありません。開発販売する事業者によって少しずつ異なります。ツールの比較よりも、自社の社員達がPCでどんな作業をどういう手順でやっているか把握して、RPA化の対象とする作業(業務でも部門でもない)を優先付けすることが大切です。例えば、数多くのWebサイトを検索して特定の情報を抜き出し、エクセルに転記し、グラフ化するなどといった作業は、企画部門などで、相当な負担になっている筈です。

地域金融機関が、最近、悲鳴を上げているのが、ベンチマーク・レポートの作成です。行内のバラバラなシステムやPCにデータが散在している。データ連携をRPAに任せると人がデータを集める作業を代替できる。下手にシステム連携させるよりも簡単です。更に、通常はデータの定義や鮮度が少しずつ異なる。それを、KKDや一定のルールで調整して、ベンチマーク・レポートを作成している。一回目はまだヨシとして、二度目以降は前回の調整方法との整合性に苦労する。それもKKDでやると、早晩、辻褄が合わなくなり、金融庁にどう説明しようか?となります。AI(DeepLearning)だと、何かで学習した方法で調整しますが、それが変わっても、その理由と履歴はどこにもない。金融庁に、「何故かはわかりませんが、AIが調整した結果がこれです。」なんてことになる。その点、ルール・エンジン(BRMS)の多くは、手順や判断基準が履歴とともに、いつでも確認できる。

何が言いたいかというと、何でもかんでもRPA化は駄目です。それは、DeepLearningも同じ。BRMSも同様。そこで、ツールを組み合わせるかとなりますが、多くの場合、技術のチャンポンは食べられない料理となる。別皿の方が旨いことが多い。要は使い分けという、当たり前の結論です。RPAは、個々に見れば省力効果が小さいが、全体でみると大きな合理化・効率化効果が期待できます。コストはせいぜい数千万円、5人分人件費といった程度です。ITオンチの経営陣には、ホワイトカラー業務をAI化すると言えば、稟議が通る筈です。

                            (平成29年2月13日 島田 直貴)