みずほ銀が次期システム完成時期を延期

日経新聞の平成28年11月12日付記事です。日経FinTechもITProサイトで報道していました。今年12月の完了予定を数カ月延期するそうです。今年6月から総合テストに入っているが、一部テストが来年1月以降に持ち越す可能性があり、全体のスケジュール見直しに着手したということです。2014年にも16年3月としていた完了時期を12月に延期しているので、二度目の延期だと強調しています。14日には佐藤社長が中間決算発表の席で、延期を認めています。

同行の開発完了とは、システム・テスト完了のことで本番稼動ではありません。本番稼動、即ち、移行の予定は一切公表していません。ですが、メディア等の取材に対して、常に、「一部に問題はあるが基本的にはオンスケで開発は順調」との回答を続けています。メディア関係者から筆者に対して、みずほのオンスケとはどういう意味かという質問が良くあります。「現状に合わせてスケジュールを柔軟にすれば、常にオンスケでしょう」と答えます。皆さん、そんなのアリですかと言いますが、何も早々とメディアに日程を確約する筋合いはない。下手に公表すると何を書かれるかわかったものではありません。こうしたスケジュール管理に文句を言えるのは、株主だけでしょう。俺の金を何時まで垂れ流すのかと。

同行開発の進捗状況について、参加するベンダーの皆さんが「まだら模様」と言います。一部の業務で、テスト計画を作る人材捜しが行なわれたと最近、聞きました。エッと思うのでしょうが、昔であれば本番稼動を延期するような業務ではありません。ただ、今回は、全業務を店群毎に移行する計画のようです。ホスト側は新旧併存となりますが、営業店側は、新のハードと業務処理態勢に一元化できます。ですから、一部業務の遅延が全体の足を引っ張ってしまう。

全店の移行には、1年半程度は必要でしょう。その前に、運用テストと移行リハーサルを繰り返します。それにも1年はかかるでしょう。来年半ばに運用テストを開始するとして、移行=最初の店群での本番稼動は、2018年半ばとなりますが、これだけ大規模なシステム移行に都合の良い連休がありません。つまり、2019年1月に移行開始というのが今時点で妥当な線かと思います。

少し前に、金融庁が開発進捗確認のヒアリングに来たそうです。大きな騒ぎにならずにすんだという話も伝わりますが、ほどなくしてテスト期間の延長を決めたのですから、オンスケと言うには、少々無理があるようです。縦横のコミュニケーションも余りよくないようです。ベンダーの態勢は昔ながらの多層的下請け構造ですが、下層になるほど、ベンダー技術者に進捗が見えず、不安が強いようです。なかなか定時に帰れない。上部組織からの指示も定時ギリギリが多く、内容も変わる。残業代こそ勤め先から出ますが、達成感が得られない辛い日々が続いているとのこと。上司は、ただただ、部下の健康と機嫌を伺うばかりと聞きます。ベンダーにとっては、金融庁よりも労基署のほうが怖い。

このプロジェクトは、2012年11月頃から本格スタートしたと記憶しています。ですから、まだ4年です。移行完了まで、あと4年弱を要するとして延べ期間8年間。長いというか、凄いというか。筆者なら絶対に手をつけないか、全く別の方法を取る案件ですが、良くここまで持ってきたというのが、正直な感想です。ただ、利用者にとって何のメリットがあるのかは見えません。筆者も同行株主のはしくれですが、この投資を配当でくれた方がはるかに良いと思っています。最近は、金融庁よりも機関投資家の方が、金融機関の大規模システム開発案件に対する視線が厳しい。トラブルが原因でシステム刷新に走った訳ですが、そのトラブルの真の原因を除去できるシステム刷新なのかも説明はありません。

機関投資家の間では、システム刷新に何の意味があるのか、なぜ、こんなややこしくて大きなプロジェクトにするのか、どうして株主に判るように進捗報告がないのか等々、相当に不満がたまっています。特に海外投資家からすると異常な投資としか見えないようです。その上、時間と投資額が膨れあがる。誰も責任をとらない。日本は変な国と思われ、幹事証券の担当者は、説明できる材料もなく、下を向くだけだそうです。こうしたプロジェクトが金融業界では多すぎます。世界トップクラスのITスキルを誇ったのは、随分と昔のことなのに、それに気づいていない。何故、ITベンダーは開発技法の革新を進めないのか?まともには使えないような、プログラムの自動生成ツールくらいしか提案がない。これからは、大規模案件の入札には、必ず韓国や欧州のベンダーで実装力のある企業を加えることを勧めようと思います。

                          (平成28年11月17日 島田 直貴)