融ポータル(みずほ仮想商店街エムタウンを廃止)


みずほFGは、7月31日に仮想商店街エムタウンを10月末に廃止すると発表しました。ネット支店のエムタウン支店は存続するとのことです。日経金融(平成14年8月1日号)記事

エムタウンは、日本初の本格的金融ポータルとして、昨年1月に富士銀行が開業しました。UFJがグループ金融機関をリンクでつないで、金融特化型のポータルを実施したのに対し、富士銀行はBtoCの物販主導型のポータルを展開しました。初年度10万、5年後100万口座を目標としていましたが、1年半で5万4千人と不調だったのが廃止の理由とのことです。当初のシステム開発費だけで20億円と言われていますから、2000年9月の設立から約2年で32億円の資本を使い果たしたということなのでしょうか。

旧3行の統合プロジェクトでは、富士銀行の存続論と他2行の廃止論が随分と激しく交わされたと聞いていました。私は、採算や企業イメージを考えれば廃止すべきだと考えていました。そもそも、銀行が支店を作って、そこに門前町のように商店街を開発するという天動説的な発想が古すぎたのでしょう。

エムタウン支店は、女性支店長ということでも注目されました。しかし、当社のインターネット・バンキング満足度調査でも利用者は殆どおらず、本当に5万人も会員がいるのかと疑問にも思ったものです。ネット・サービスの初期会員数の大半は社員か縁故会員なので実働率が低いのですが、それにしても実会員の姿が見えなかったのです。

それ以上にエムタウンそのものの存在感もありませんでした。何を売っているのか、会員メリットは何なのか、他社サービスとどう違うのか?広報活動を行わないという理由以上に、商店街としての魅力がなかったということでしょう。事実、エムタウン支店の会員は30才代が最も多く、次いで40才代ということです。男性比率は4分の3ということですから、高金利狙いの顧客中心だと考えられます。

ネット・ビジネス成功のポイントとして3点が言われます。
@ コンテンツ:提供するサービスの質と品揃え
A リッチネス:顧客・参加者の多さ
B アフイリエート:出展企業あるいは販売支援・後方支援を行なう企業の多さ

これらの要因を楽天などと比べると、エムタウンがはるかに見劣りしていたことは事実です。担当者の責任というよりも、経営がどこまで本気でやる気だったのか、現場にどれだけ権限を与えたのかが問題でしょう。一般的に銀行トップは、流行に左右され易いと言えます。隣がピアノを買えば、すぐに我が家も買います。我が家が1日でも早ければ、それで満足します。しかし、買うだけです。フオローはしてくれません。時々、思い出したように、計画値との差を叱責するだけです。営業戦略が予定通りにいくことはあり得ません。環境変化や予定外のことに対応するスピードと資源を用意しておくことが、営業戦略成功のコツです。担当者は被害者と言えるかも知れません。

記事の中で、「エムタウンの教訓は今後のネット戦略に生きる」と銀行幹部の発言が紹介されています。本当に教訓を得て、次回に活かして欲しいものです。銀行界は似たような経験を20年以上も繰り返しているのですから。失敗は成功の母ですが、何時までも同じ失敗を繰り返さない仕組みが必要だと思うのですが。不良債権処理と同根の産業文化の問題でしょう。