カラーバーコード (パナソニックが観光案内)


平成27年9月16日付日経新聞の記事です。パナソニックがスマホで看板などの観光情報を25カ国語に翻訳して提供するシステムを開発、近く、京都駅ビルなどで5カ国語対応のサービスを開始するそうです。音声認識、自動翻訳、自動応答に関心があるので、金融とは直接関係ありませんが、応用できそうだと読んでみました。

看板やパンフレットに専用アプリを入れたスマホをかざすと、カメラがバーコードを認識して情報をクラウドで翻訳するというものです。使用するバーコードはカラーバーコードで3メート程度までなら複数の人が同時に利用できる。情報そのものはクラウドにあるので、追加・更新にバーコードを取りかえる手間はかからないという内容でした。パナソニックは、アプリやサーバーの管理、運用を事業化する予定です。インバウンド旅行客が年2千万人を越える見込みですから、きっと、良いビジネスになることでしょう。海外旅行客対応を契機として、ITを活用したサービス革新が金融を含めて大きな流れになっています。

恥ずかしながら、カラーバーコードというものを知りませんでした。調べたら、2005年に名古屋のシフト社が開発したカメレオン・コードもカラーバーコードの一種でした。カメレオン・コードは、水色、紫、黄、緑、赤、青、オレンジの8色を基本構成としますが、パナソニックは赤、青、黄の3色です。色の多い方が、より多くのコードを表すことができますが、不必要に多ければサーバーの処理負荷が増えるだけです。ちなみに、カメレオンの場合は、9個のマークを1列として3列並べて使いますが、約7兆6255億コードを表せるそうです。行や色を追加すると1237(京の100万倍)9400垓(京の千倍)程になるそうです。筆者は京より上は覚えていません。まさに使いきれません。個別コードとしては最強だと思います。

色を光で判断しますから、電波干渉が起こらず、複数の人が一斉にカメラを向けて認識できます。それも光の速度です。つまりコードが動いていても構わない。2次元QRコードだとカメラ画面の8割程度以上の大きさで写す必要がありますが、色の違いが判ればよいだけなので、画面の2%でも認識できるそうです。色マークは一つ一つが大きいというイメージがありますが、0.5ミリでも認識できます。それも普通のプリンタで印刷したもので良い。つまり、JANコード、QRコード、RFIDのような読み取り装置やバーコード印刷機は必要ありません。

良いことだらけなのに、何故、普及しなかったのか?一つはカラーコードの標準化が不十分であること。これは、今日ではクラウド上でコード管理すれば済むようになりました。二つ目は読み取りデバイスの処理速度の問題。スマホやタブレットの処理速度もカメラの精度も飛躍的に向上して解決しました。現在では入退室管理や医療機器(電磁波が発生しないことが理由)、製造現場や保守作業、物流などに使われています。金融でいえば、文書など現物管理が適用分野となるでしょう。

パナソニックは、ポスターやパンフレットと自動翻訳を組み合わせました。まさにFintechにピッタシという印象を受けます。商品案内、CLO(クレジット・リンクト・オファリング)、ABLなら豚1頭1頭に貼ってもよい等々、適用分野が次々と思い浮かびます。1万円札1枚1枚に貼るとどんなことになるでしょう。

銀行でいえば、伝票など紙の山ですし、OCRやMICRを未だに使っています。流通業の知人に、「金融は遅れているね。せめてバーコードを使ってコンビニ支払みたいにすれば、随分と合理化できるのに。」と言われて悔しい思いをしますが、カラーバーコードで逆転してやろうなどと思ってしまいます。ただ、読み取るのにイチイチ、スマホのカメラを起動するのは余りに面倒です。ペン型のカメラなどを安く作ってくれたら、全行職員が持つかも知れません。100万台は売れることになります。私も胸のポケットにさしておいても良い。アプリの処理とデータの蓄積はクラウドを使えば済みます。

製造業などでは、カメラ付きウエアラブル眼鏡を使うようですが、少々、カッタルイし、コストがかかり過ぎるようです。金融の場合、スマホの画面では小さすぎますが、最近はタブレットが殆どの行職員に配布されています。遠くない将来、折りたたみ自由のペーパー式モニターも商品化されるでしょう。キー入力も音声認識やジェスチャー認識で代替できるかもしれません。どれも随分と前からある技術ですが、デバイスやネットワークの高速化、大容量化、低価格化などによって実用化されようとしています。AIやARなどと連動したら、マスカストマイズしたサービスが様々に考えつきそうです。

当コラムの前回と同じ結論ですが、要は、金融機関の変化受容力強化と顧客サービスのマイクロセグメント化を進める必要があります。それには、やらずに済ます為にできない理由を捜すのではなく、実現するには何をどうするかと考える習慣を身につけることだと思います。何をするにもインヒビターとドライバーがあります。どちらに目を向けるかということです。顧客をマスで捉えている限りは、何百万、何千万といる顧客の90%以上が不採算客だというリテール・ビジネスの課題は解決できません。

                                 (平成27年9月18日 島田 直貴)