共通ポイント (地域銀がCCCと連携)

ニッキン平成27年1月30日号の記事です。約30の地域銀がCCCと連携してTポイント会員情報を利用したメール広告やダイレクトメールを行なっているとの内容です。およそ100件の案件実績があるそうです。Tポイントは約5千万の会員情報を蓄積しており、122社と提携して、購買履歴を蓄積・更新しています。この記事が紹介するのは、金融機関が、ターゲット地域と属性を指定し、CCCが対象先を抽出して広告配信するという仕組みです。個人を特定できる情報は金融機関に提供されません。

武蔵野銀がカードローン、千葉興銀はマイカーローンの販促などに使っているとのこと。最近では、自行の商品・サービスにTポイントを付与する金融機関もあるそうです。Tポイント加入率6割の沖縄県では、琉球銀行が給振顧客にTポイントを付与して若年層取引に効果を上げているとのことです。

金融機関が共通ポイントを導入する場合に考慮する視点は大きく二つあります。第一は、自行商品サービスの販促、すなわち、優遇サービス。第二は、購買履歴など顧客の趣味嗜好の把握でしょう。

販促手段とするなら、提携店舗数や加入者数、そして還元率が重要となります。加入者数と店舗数から見ると圧倒的にTポイントが優位です。店舗数23万強(リアル店85千とネット店の合計)で発行枚数は1.4億枚(アクティブ・ユニーク数5千万人)に対してPontaは2万3千店、66百万人(アクティブ数は不明)です。楽天のRポイントもリアル店1万3千、ネット会員94百万と膨大な顧客ベースですが、楽天グループが金融事業をしており他の金融機関としては提携するのが難しい。

購買履歴情報ですが、CCCは昨年、個人情報保護強化の一環として提携先への情報提供を顧客が停止できるようにしました。顧客が情報提供停止手続きを行なうと、CCC提携先への住所、氏名などの提供を止めることができます。ただし、各種の特典等が得られなくなる可能性があります。それはそうでしょう、特定できない人に優遇サービスを届けようがありません。この発表は昨年10月28日で11月1日から発効という急な発表でした。利用者からは身勝手だとか、停止手続きをしないと自分の情報が悪用されるとか、とても不評でした。一部メディアでは、ポイントがつかなくなるといった報道もありました。

このCCC提携先ですが、昨年12月15日時点で88社(内、9社がCCCグループ企業)が公表されています。金融機関は、新生銀行と琉球銀行の2社です。提携、即ち、情報提供を受けるのに幾らの料金がかかるのか知りませんが、少ないという印象です。素データをもらうよりも、この記事にあるように希望するセグメントの個人を抽出して配信代行してもらう方が、効率的と金融機関は考えるのでしょう。

ネット経済が進展しつつある今日、取引情報、決済情報の争奪戦が激化しています。特定個人の経済源流データを集めると、様々な価値情報を掴めます。メールやWeb誘導だけでなく、GPSを使ったリアル店への送客も可能となります。メガバンクとしては、広域低密度のリアル・チャネルとネット・チャネルは、高い補完関係を期待できます。しかし、狭域高密度のリアル・チャネルを持つ地域金融機関としては、ネット・チャネルをどう考えるべきかが難しいところです。

ネット経済は、ボーダーレスです。国境だけでなく県境もありません。地縁人縁をベースに地域密着やフェイスツーフェイスを事業基盤とする地域金融機関にとってネット化は自己否定になるのか、それともオムニチャネル等で営業力強化になるのか。できれば、取引情報も決済情報も、海外や東京に送るだけでなく、地域内に環流させて地域再生、振興に活用したい。地域経済で最も広範で高密度に顧客接点を持つのは、公共事業体と金融機関です。この経済源流データを地域に環流させる責任は金融機関にもあると言えるでしょう。

地域共通ポイントというサービスが幾つかあります。余り普及している事例はないようですが。地域名産を買えばポイントが多少多めにつくという程度では、地元の人にはインセンティブにならないのでしょう。Tポイントのような全国版共通ポイントと交換できるようにした途端に地域性が薄れてしまうようです。それを防ぐ為には、地域内加盟店をもっと増やす策が必要ですし、そのカードがなければ生活が不便になる程の利便性や優遇策が必要だと思います。更に、プリペイドカードやデビットカード、そして、クレジットカード等との一体化ができれば、随分と話が変りそうです。そう考えると、今年から導入の始まるマイナンバーカードの余白を使えたら良いのになどと思います。または、いっそのこと、全てのカードを1枚のチップカードかスマホに詰め込んで統合カードとできたら便利そうです。遠からず、その時代が来ますが、それを地域単位で先行するのは容易ではなさそうです。

決済は、カードやネットと組み合わせることで、社会インフラ化することができます。小口決済を寡占化し、そこから得られるコイン収入を当てにしても金融機関の収益を支えることは無理です。決済情報や取引情報を収集、流通させるプラットフォームを創り、そこから地域経済や生活の活性化を図る大きなビジネスモデルを創出したいものです。

                                   (平成27年2月2日 島田 直貴)