会社分割(UFJが信託分離)

日経新聞(平成14717日号)によれば、UFJ信託銀行が銀行部門と信託部門を会社分割して、銀行部門を新会社にした上でUFJ銀行に吸収する計画だとのことです。ただし、UFJホールデイングスは同日、「決定した事実はありません。」と発表していますが。

日本の大手銀行はM&Aを通じて、巨大化・総合化の道を選ぶ傾向が強いのですが、私は総合化という選択は極めて危険だと考えています。規模だけ大きく(間接コストの肥大化とスピードの劣化を意味します)強みの少ない道だと思うからです。商業銀行・投資銀行・信託銀行・証券会社に必要なビジネス・モデルはそれぞれ異なりますし、組織文化や求められる人材のタイプも全く異なります。それを、一つの決定構造の中で同じ規準で扱えば、必ず摩擦が起きて後ろ向きな仕事ばかりが増えてしまいます。

これまでに合併に伴うシステム統合プロジェクトや会社新設プロジェクトは幾つも見てきました。しかし、分割の経験は一回だけです。日本の金融機関は分割を想定したシステム体系になっていません。取り扱う資産・取引の全てが1社という前提で組まれているからです。それを分割するためには、全てのアプリケーションに複数オーナーのロジックを組み込む必要があります。それが不可能な場合は、全てのハードウエアを二重化して物理的に別オーナーであることを認識できるようにしなくてはなりません。会社分割は場合によっては、合併よりも大規模なIT投資を必要とすることが多いのです。

昔は、例えば住友銀行や富士銀行が友好地域金融機関のオンラインを受託していたので、銀行コードや勘定管理を複数持てるようになっていましたが、現在ではどうなっているか知りません。

信託銀行の場合は、信託業法にもとづく信託会社に銀行法による普通銀行業務を兼業認可する方式がとられています。その結果、信託勘定と銀行勘定は全く別建てのシステム体系になっていますので、システムの分割も資産の分割も比較的容易なのです。

最近は、ホールデイング・カンパニーの下に信託専業の銀行を配置する方式が増えています。適切な対応だと思います。専門化を図ることで顧客価値が増す筈です。ただし、日本の持株会社は、ホールデイングがえらくて、その傘下の会社は子会社で、親の命令を聞くものという傾向が強いようです。米国の持株会社のように所有と経営の分離で、親子に上下関係はないとするものとは、思想が違います。本社や親会社の地位が高く、子会社の社員は恥かしいという風潮は、株式会社制度の基本を知らないものと笑われることに注意すべきでしょう。