小口電子決済の国際化 (大手カード会社のNFC実証実験)


ニッキン平成23年2月25日記事です。クレディセゾン、オリコ、SMカード3社が、今年から来年にかけてモバイルNFCを実用化すべく実証実験を行っているということです。スマートフォンの普及に合わせて、携帯端末での非接触IC決済を拡大しようとする動きです。クレディとオリコはKDDIとソフトバンクモバイルの共同実験に、SMカードはNTTドコモの実験に参加しています。

NFC(NearFieldCommunication)は、1メートルから数センチの極短距離通信でRFID(非接触通信)の国際標準です。ソニーと旧フィリップスセミコンダクターズが開発したそうです。日本で普及しているソニーのFeliCaや欧州におけるフィリップスのMifareと互換性があり、NFC同士だけでなく、FelicaやMifareとも通信できます。(カードエミュレーション機能) PCや家電などにNFCモジュールを組み込めば、212/424kbpsの双方向データ伝送ができます。(端末間伝送) 動画や音楽など大量データをWiFiやBluetoothなどにハングオーバーすることで高速伝送も可能です。(ペアリング機能) 実際の通信距離はセキュリティや操作性などの為に10センチ程度と限定されていますが、認証だけでなく様々な用途に使えると期待されています。

韓国中央日報が2月10日に、日韓合同のモバイル決済サービス計画を報道していました。KDDIとソフトバンクモバイルがSKテレコムと共同で10日から実証実験を行い、6月までにテストを終えて、年内には携帯電話による決済の相互乗り入れを開始するそうです。各社の携帯ユーザーは、クレジット決済、交通乗車券、クーポン券、会員証などのサービスを両国で利用できます。SKテレコムは、欧米キャリアとの提携も計画しているとのことです。

日本のディファクト標準であるFeliCaの弱点は、加盟店設置端末が10万円以上と高いことです。チップとリーダ・ライター機能の一部がソニー独自仕様です。NFC仕様の端末は100〜200ドルで済むそうです。

日本の携帯電話はガラパゴスといわれ、国内利用に限られてきました。10数年前に、私は会社からの支給PHSを拒否して固定電話にこだわっていました。海外での会議の際、休憩時間に米国人など主催国以外のメンバーが自国と携帯通話しているのを見て、何をしているのか、何でこんなことが出来るのかと驚いたことがあります。今考えれば余りに遅れていたと自認しますが、わが国ICTの島嶼化状況を表しています。

最近のスマホ・ブームは、ガラパゴス島を大陸と繋げつつあるように見えます。国際的ディファクト標準のiPhone、Android、WindowsPhoneに国内大半の携帯電話が変わってしまい、それにNFCが搭載されたら、どんなことになるのでしょう。例えば、米国にも銀行口座を開き、携帯クレジットを契約します。その口座と国内の預金口座間は、最近始まった低手数料の海外送金サービスを使います。カードを使う時は、国内のカード会社を経由しないで米国で決済します。加盟店はカード会社に支払う手数料が大幅に安くなるか不要となりますから、その一部を顧客にキックバックできます。

現在、国際クレジット・カードは、クロスボーダー取引を禁止していますが、その抜け道は、大勢で考え出すでしょう。交通カードとして使う場合は、どう決済するのでしょう。恐らく、キャリアが各国別の利用料金をプールして、各交通機関との間で相殺した上で最終決済するか、全件クレジット決済とするかということになるでしょう。キャリアとしては、自らクレジット決済に参入するか、あくまでインフラ提供業者に徹するか。そうしている間に、提携国間で共通電子マネーが普及していくでしょう。個人版の統一通貨となります。やがて、個人と法人との垣根も下がるかもしれません。今から、この統一通貨のネーミングを考えるのも楽しいでしょう。

NFCは、携帯にICカード機能を取り込むということと、家庭LANや電子家電のような使い方で議論されることが多いのですが、金融の世界でも面白いことが考えられそうです。共通番号制度もようやく進展の兆しが見えてきました。金融業界の方々は、法制度上の制約を際限なく並べるでしょうが、流通業やノンバンク(のプロパーの方々)、そして個人向けIT業界には、それを出し抜く知恵と独創力を持つ人達がいます。これからの2、3年が楽しみです。議論するだけなら、コストはかかりませんので、銀行の方も目線を180度転換して議論し合ったらいかがでしょう。金融の再活性化には、新しい目玉商品・サービスが必要です。