MUFGがシステム子会社3社を合併


日経コンピュータが同誌サイトITProに平成21年3月2日付で報道していました。

http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20090302/325728/

BTMUのシステム統合Day2完了を受けて、傘下のシステム子会社3社を今年7月1日付で合併すると発表しました。社員数1,400名の金融専門IT会社が発足することになります。

もっと大々的に発表すればと思うのですが、何故か地味な発表でした。

平成17年2月に新銀行の基幹システムを旧東京三菱に片寄せすると発表した時点で、システム子会社をどうするかと注目されました。筆者は、複雑で大規模なシステム統合を控えて、システム関連組織を大きく変えることは混乱の元になるので、担当分野を明確にしながら、従来の指揮命令系統や組織文化(仕事の進め方、コミュニケーションの方法など)を活用した方が良いと考えましたが、多くの人は、組織を先に統合した方が良いと言っていました。片寄せでなく、新システムを構築(それまではDay1のまま)する方法を取るのであれば、筆者も組織統合を先行させるべきと考えたのですが。

Day2作業開始時点で組織統合することも出来たのでしょうが、MUFGは、そのままの体制でDay2を始めました。Day1が順調に完了できたので、その体制を維持したのでしょう。また、年齢構成や得意分野も異なる3社を迂闊に統合して技術者が大量流出することも恐れたのでしょう。平成17年、18年頃は、優秀な技術者を全国から必死にかき集めていた時期です。旧三和や東海の技術者の中には、システム統合が終われば自分たちは冷遇されると考えて転職した人もいたようですが、多くは自分たちが作ってきたシステムを新銀行にうまく移植するまではと頑張ったと聞いています。旧東海銀行系技術者を中心とするUFJISと旧三和銀行系を中心とするUHSの社員の心意気と努力は、褒められるべきです。

合併で発足する新会社は、ナショナル・フラッグ・バンクのITを支えることになります。これからは、システム統合とは異なり、夢と戦略を追う新規開発が出てくる筈です。統合作業中は超過勤務が続き、勉強する時間もなかったでしょう。この4年の間に技術も随分と変わりました。早くキャッチアップして、我が国銀行ITを先導して欲しいものです。共同化やアウトソーシングが進んで、自前のITパワーを持つ銀行は殆どなくなってしまいました。今のままでは、欧米の先進事例を数年遅れでマネするしかない状況です。支えるITベンダーは戦略も技術も周回遅れですから、とても頼れたものではありません。金融危機で欧米銀行が足踏みしている間がチャンスです。さもないと、欧米との差は開く一方となります。

金融機関だけでなく、IT企業の合併も数多く見てきました。成功事例を知りません。規模のメリットを追求し、お互いの弱点を補完しあう目的で合併するのですが、結果は全て逆に出るケースばかりです。理由を考えると、本当のビジョンと実効性のある戦略がなく、スキル戦略もないからです。内部成長が限界なので合併で決算数値をお化粧することが目的だったのか思うような有様です。金融もITも、それ自体は経済活動の目的ではなく、手段であることを忘れなければ、おのずと継続的な事業目標が定まる筈です。しばしば、日本のIT技術者にも優秀な人材はいるが、平均値と総数からすれば、後進国だと言われます。個々の技術者が問題なのではなく、商習慣を含めた仕組みと経営の問題だと筆者は考えています。

銀行系システム子会社が成功しない理由は明らかです。第一に経営トップがITビジネスの素人であること。第二は、銀行カースト制度においてIT技術者の地位が低いこと。第三は、銀行カルチャでは無理な外販拡大による赤字垂れ流しです。優秀な人材とグループ営業力が減殺されてしまうのです。今回合併する新会社の経営陣には、MUFGの経営戦略にベスト・フィットした技術戦略と人材戦略を展開して欲しいものです。旧XX銀出身だとかXX大学出身などと言っていては、グローバル競争にはとても勝ち抜けません。まして1400人程度では、外販などは無理です。いたずらに戦力を分散せずに、MUFGを世界最強の金融グループにするITを考え抜くべきでしょう。その際には海外の有力な開発ベンダーやアウトソーサーを買収することも考えるべきです。3社をまとめて一件終わりでは、ベンダーに丸投げしている地域銀と大差ない結果となります。