電子マネーの新ルール (金融審議会が論点を整理)


金融審議会の金融分科会第二部会は、9月12日に第6回WGを開き、電子マネー等新しい決済手段のルール作りに関する主要論点を整理したそうです。普通は即座に議事録や配布資料が金融庁サイトで公開されるのですが、今回分はまだ公表されていません。日経新聞平成20年9月13日号が、概略を報道しています。それによると、

     ネット・マネーを規制対象とし、新法制定も考慮する。

     発行者破綻に備え、未使用残高に対する供託義務を課す。

     ポイント制度は、購買活動のおまけとみなす。

     価値移転は一種送金であるが、マネロン等の防止処置とともに、銀行以外にも開放すべき。

     収納代行は、悪徳業者排除のためにも新しいルール作りが必要。

などが、一部付帯意見があるものの、意見の一致をみた結論だということです。

同記事の下には小さく、政府の規制改革会議が発表した決済ビジネスに関する規制改革提言の記事がついていました。銀行による送金業務の独占解禁を提言し、電子マネーや収納代行などへの過度な規制を避けるよう求めたそうです。日経は、規制改革会議よりも、金融庁の発言力と方針を支持しているのでしょう。こうして世の中は決まっていくのだと見ると面白いものです。

金融界でも電子マネーに対する関心は極めて強いものがあります。関連企業や調査機関がさまざまな調査を行って発表しています。どこも同じなのは、「急成長している。通貨管理機能に支障が出る。銀行機能が奪われる。だから、銀行も電子マネー事業に参入すべき・・・・」です。同じ論調ばかりなので、聞く方も飽きます。その結果、銀行の企画担当者は、「それは大変だ。何か考えなくてはいけませんね。何を考えたら良いですか?」で終わります。筆者などは、「電子マネーといっても大半のお客はポイント狙いだし、小さな市場なので銀行には大きな収益にはならない。最後は銀行の口座か現金経由で精算されるのだから、その前捌きとしての事務負担を一般事業会社にやらせておく方が、銀行業界だけでなく電子マネー育成のためにも良いから放っておいたら・・・」などという人間はいません。

発行枚数、発行金額、利用金額などの調査を多くの企業が行なっています。毎日、新聞記事を追ってXXとXXが提携したなどと騒ぐ人もいます。これだけ多くの調査主体から調査協力依頼を受ける側に同情します。一方で、どうせまともに答えてはいないだろう。イメージを考えて数字は相当に水増ししているだろし・・と邪推してしまいます。実際、日銀の調査とマスコミ調査には、大きな差があります。筆者は、残高などの数字は、日銀決済機構局の調査論文を参照します。

http://www.boj.or.jp/type/ronbun/ron/research07/ron0808b.htm

どのような電子マネーがあり、それらの提携関係がどうなっているかなどミクロ情報は、業界紙などの特集を見ます。最近では、週刊ダイヤモンド2008年7月12日号が、労作の調査結果を掲載していました。日銀調査とは数字に大きな乖離がありますが。

電子マネーが関連する法制については、プリカ法、景品表示法、民法等契約法、出資法、銀行法、個人情報保護法、企業会計原則などがあります。現在の発行主体は大企業ばかりで、法制度との整合性は事前確認されていますが、やがて、妙な発行主体が出てくることは確実でしょう。その場合に、法の網の目をくぐることもあるでしょう。それを防いで健全な発展を担保するために規制が必要ではありますが、その規制が発展を阻害する可能性もあります。消費者保護を名目として事前防止を図るのか、経済活動の進歩を優先して事後規制にするのか難しいところです。

筆者は、急いで電子マネーに頼る必要もないので、使い分けしながら、良いトコ取りを狙うつもりです。メディアに煽られることも、行政の庇護を受けることもしないように。危ないコトはアタラシモノ好きの人に任せて慎重に使います。例えば、スイカは定期券、小口決済用、クレジット用の3枚を使い分けします。携帯では使いません。何が言いたいかというと、電子マネー調査機関や発行者、関連ベンダーの話は、多くが発行側論理です。生活実感からの情報ではありません。XXのポイントが有利と報道されると、多くの人が流れます。こうして頻繁に人気カードのランキングが変わります。それを見ていると、だれが得をしているのか?疑問です。会社出張の経費をポントにして、家族で海外旅行したと自慢する人がいます。それは業務上横領ではないか?と聞くとキョトンとしています。今は余りに多勢がやっていますから、誰も気にしませんし、会社も処罰できないでしょうが。ある航空会社の人気ポイントでは、航空券の予約が取りにくくなりました。これは、いんちきゴルフ場、エステサロン、英会話学校と同じではないか。金だけとっておいて使えないなんて。誰かが文句を言ったのでしょう。ポイント用の席枠が増えました。でも、交換ポイントが大巾にインフレです。これは、財産権の侵害にならないのか?金融審議会が言うように、おまけだから財産権や契約金額の拘束力はないのか?と思います。おまけの定義と権利関係は何か?

皆さんも、様々な制度的な疑問をお持ちでしょう。でも全てを法律でカバーすることはできませんし、すべきではありません。発行者との約款や企業規則などは、読んでも判りません。少なくとも法的紛争に巻き込まれないように自分で注意しながらも、簡便に相談できる仕組が欲しいと思います。関連ベンダー諸氏には、単純に煽ってばかりいないで、使う側視点で注意すべき点の啓蒙活動もお願いしたいものです。行政には3K不況を5K不況にしないようご注意いただくとして。