代理店支援システム(大和総研とIBMが保険窓販ASP)


ニッキン平成20年3月21日付け記事です。大和総研は日本IBMと共同で、信金、地域銀を対象とした保険窓販のASPを4月から提供するそうです。従量課金制なので初期投資が少なく、取引量の少ない段階でもIT投資の抑制が可能です。DIRは以前から一般企業の保険代理店システムを販売しており、それを銀行の窓販用に改造したということです。また、同社が提供している投信窓販システムとのデータ連動も可能だそうです。主な業務機能は、契約管理、顧客情報管理、申込進捗管理、コンプライアンス管理、募集人情報管理で、マルチチャネル基盤と自社基幹システムなど他システムとの連携基盤も用意されています。このASPシステムに銀行の本部と各支店あるいはモバイル端末などを接続し、販売、契約、保全などを行なうことになります。複数の保険会社のさまざまな商品を一元管理できることは保険会社が提供する端末を使うより便利なことは確かです。

10年前に投信窓販が解禁された時、証券4社の窓販システム売りこみには凄まじいものがありました。野村は、いち早く綺麗なパンフレットを作り、営業総動員で販売活動をしました。日興、大和、山一なども積極的な活動を行なったのですが、野村の営業力に軍配が上がりました。その時に感じたことですが。野村は、「投信窓販には、この機能が必要です。これで充分です。」という売り方でした。他の3社は、「言ってくれればいかようにも対応します。」というアプローチでした。筆者は親しい証券会社に「地銀は、投信の売り方も販売管理の仕方も知らないのだから、どうしてもっと自信を持ったストーリーとシステム対応のメニューを用意しないのか?」と苦言を呈したことがあります。それに比べると、保険業界はおとなしいものです。銀行側に様子見の姿勢があることも理由でしょうが、多くの金融機関は既に保険代理店子会社を持っており、親密保険のすみわけが決まっているからかもしれません。

数年前に、大手銀行系代理店の案件を実施したことがあります。生保、損保の共同システムの端末が並び、主力保険会社の端末も並び、そして自社用の顧客管理と業績管理と手数料管理にハードだけで数千万円のサーバーと数十台のLAN端末が並んでいました。これを整理して一本化できないか?と聞かれましたが、テクニカルな問題ではありません。元受としては、代理店を抱え込みたいのは当然ですし、機能範囲の中途半端な業界共同システムは、中小保険や大手代理店のガス抜きに過ぎないという状況だったのです。保険会社にとっての顧客とは、代理店でありセールス・レディでしたから、彼らの要望に応えながら囲い込むことが保険会社の戦略でした。今では全くの様変わりですが。

2004年12月には証券仲介業務が解禁されています。一昨年から銀行代理店が大巾に規制緩和されました。銀行は、証券会社の代理業務に加えて、他の銀行の代理店となり、保険会社の代理店ともなります。顧客のニーズを考えれば、元受を固定せず、商品ベースの優劣で取扱いたい筈です。となれば、数社どころか数十社の代理店となります。先述した大手保険代理店のように、元受会社数と複数の業界共同システムの端末を並べるわけにはいきません。代理店手数料収入より、電気代の方が高くなるのいうのは冗談でしょうが。操作を覚えきれない、顧客管理もできない、端末を置く場所がない・・・では話になりません。そこでゲートウェイを用意するとか、ASPだとか、SaaSなどという案が出てきます。しかし、パッケージをネット経由で使うだけの方式には、乗合代理店にとってメリットは余りありません。販売研修や代理店向けヘルプデスク、フォレンジックを含めたコンプライアンスなどを合わせれば、代理店システムは、相当に複雑で巨大なものとなります。代理店側視点での代理店システムが必要なのです。

代理店としては、地域のスーパーなどをイメージすればよいでしょう。売れ筋商品を並べ、地域や顧客に合った価格と売り方が必要です。しかし、販売方法もコンプライアンスも商品種類によって異なります。こうした販売形態は、日本の金融界で過去にありません。システム体系も以前とは全く違います。最近ではSaaSにとって変わられましたが、その基盤にあるWebサービスというコンセプト(技術標準の組み合わせ)が使えそうです。ビジネス・プロセスを標準化することが理論的には正しいのですが、現実解ではありません。技術的な標準を使って、異なるプロセスとデータを連携させる方が現実的です。Webサービスの基盤技術であるSOAP、UDDI、WSDLなどを装備したSaaSが出てくると良いと思うのですが、日本ではこの技術標準は見向きもされません。大手ITベンダーの研究部門では調査研究されているのに製品・サービスや営業第一線に伝わらないのです。米国などでは、SaaSなどに採用され実用段階に入っています。ハコモノ中心で考えると代理店システムは大失敗となります。