ノンバンク再編(三井住友がグループ4社を経営統合)


日経新聞平成20年3月1日の記事です。三井住友FGが、グループのカード会社4社の再編案を発表したそうです。今年10月に中間持ち株会社を設立し、そこに三井住友カード、OMC、CF、クォークを子会社化する。来年4月には、OMCを存続会社として、CF、クォークと合併するというのです。

同社の発表によれば、成長性が期待できる市場であると同時に、貸し金業法改正、割賦販売法見なおし、リース会計の変更などにより経営環境が激変しており、新しいビジネス・モデルの確立が必要で、金融取引複合化のゲートウェイ機能、受託業務等による法人取引強化を計画しているようです。その為に、システム等のインフラでスケールメリットを追求しながら、各社の得意とする市場分野、事業分野の強みを活かすことでマーケティングを強化したいとしています。

各社を個別に展開し続ける理由はありませんので、統合するのはもっともなのですが、三井住友カードだけ別にする理由が理解できません。地銀を始めとしたフランチャイズに気を使ったのでしょうか?株価や株主構成に制約があるのでしょうか?確かにSMカードの株は66%がSMFG、NTTドコモが34%を持っています。ドコモには重要議案の拒否権があります。クレジットと物販割賦で分けたのでもありません。決済高機能ニーズとマーケティング・ニーズ対応型で分けたとしています。前者は、インフラを売りにしてカード・ホルダーを対象とする。後者は、割賦販売等加盟店を対象にマーケティング支援を売りとするということのようです。そして、システム・プロセシングの一体化とアクワイヤリングの集約化を図るとしています。

コンシュマーファイナンス三大業務である、クレジット、キャッシング、割賦は、実質的に一体化するのが業界の流れです。しかし、現状ではまだ顧客開拓や販売推進を行なう加盟店などとの関係で、一挙に一体化という訳にはいきません。特に割賦のように長期債権の移転が絡む再編では、多くの顧客の同意が必要です。その負荷も膨大となります。過渡的な形態として、中間持ち株会社の下にSMカードと合併会社を併存させる方式にせざるを得なかったのかもしれません。外観からすれば、直参であるSMカードによるガバナンスの下、外様を集約したと見られても仕方ありません。

従たる理由として新システムの構築があるかもしれません。SMカードは、以前に新システム構築を希望しました。しかし、時期が悪いのと投資規模が過大であったため、凍結やむなきに至りました。しかし、今回の再編において新システム構築は認められたと思われます。しかし、クレジットにはキャッシングが入るものの、割賦まで入れると極めて膨大な開発量となります。また、カード会社の要員には割賦はわかりません。そこで、開発分野を分けるか、CFのシステムを有効活用するのかもしれません。全くの推測ですが。カード会社の再編は、我々個人顧客に影響がないというのは過去の話です。最近では、クレジットで駐車場料金、部屋代、受信料など定期的支払いに使うことが増えています。合併によりカードを再発行するとなると、顧客は支払い先に支払い方法変更の手続きをする必要があります。カード会社によってはプロセシングを外部委託しているものですから、顧客宛案内状が、記憶にない会社から来るということもあります。複雑化しすぎており、再編が顧客の手間をかけすぎる場合には、離反リスクが高まることは確かです。MUFGがUFJニコスに統合し、ジャックスへの出資比率を上げ、JALカードの買収に向けて交渉中です。JCBのほかに、どこが生き残るかと言われる業界ですが、SMFG系4社の統合で、JCBを上回る規模のカード会社が出来ます。MUFGとしては、次の視点をJCBに向けたいところでしょう。

キャッシング専業の消費者金融も、再編の最中にあります。みずほグループは、消費者金融は行なわない方針で、それはそれで経営の矜持だと思います。SMFGはプロミスに業界5位の三洋信販をつけることで、シェアトップの座を得ました。MUFGはアコム主体ですが、シェア争いをするのであれば買収候補を捜すでしょう。武富士やアイフルはもともと独立性が高いですが、市場動向と各社業績によっては、合併に応じる可能性が出てくるでしょう。GE系のレイクやシティ系のディックも得意な市場を持っていますが、親会社が売却方針を打ち出しています。消費者信用の場合は、過払い返還債務という大きな爆弾がある一方、顧客は優良、普通、不良と明白に分けられます。返還債務と不良顧客を切り離す手段が見つからない限りは、単純な合併劇はないでしょう。

リースを含めて、ノンバンクといわれる業務分野は、三大メガ・グループを柱に再編が進んでいます。どの分野も、ITを最大限に活用した装置産業化に向かっています。しかし、最後は産業文化、企業文化の融合という問題が出てくるでしょう。銀行と消費者金融は余りに業界文化、社員のDNAが違います。そこに合併銀行の組織文化が複数で重なりあうのですから、大変でしょう。ITを通してプロセスを一体化し、人的融和を図るという話も聞きますが、そんな安易な話はありえません。新たな経営ビジョンとビジネス・モデルを設計して、共通の目標に対して、旧組織ではなく個々人が参画する仕組がなければ、どんなに会社形態や組織をいじくり、新しいシステムを導入しても、まとまらないことは過去の事例が示しています。ITベンダー企業は、再編会社が提示する経営ビジョンとビジネス・モデルを良く理解して、その実現をサポートするという気構えでなければ、プロジェクトを失敗させるだけでなく、顧客の戦略を崩壊させることになります。