証券会社のアグリゲーション・サービス

日経新聞(平成1441日号)の記事で、証券会社の提供するアグリゲーション・サービスを紹介しています。現在、マネックス、野村、イートレードが提供中で、近く日興ビーンズがサービス開始の予定とされています。各社ともに原則、無料サービスですが、取引情報を取り出せる銀行には制約があります。

我が国で最初にサービスを始めたマネックス証券の場合は、マネーステーションというサービス名称で、新生銀行、みずほ銀行、セゾン・カードの口座残高情報を一画面上に表示してくれます。一見、便利なのですが、新生やみずほ銀行に主要口座を持っていない顧客には何の意味もありません。どの証券会社もサービス利用者数を公表していませんが、極めて少数の利用者だろうと私は考えています。日本の個人は平均して4件弱の普通預金口座を持っています。日常的に使う口座は2件程度ですが、使用頻度に関わりなく残高管理は面倒なものです。口座数は増える傾向にあります。銀行のATMネットが普及しているので、仮に転居しても、口座解約したり住変手続きするよりも、口座を残しておくほうが手間がかからないからです。口座維持手数料が普及しない限り、この現象は続くでしょう。インターネットバンキングのサービス手数料も無料化が進んでいます。インターネット利用者の20〜30%、つまり1千万人以上がインターネットバンキング利用者となるでしょう。当社の調査によれば、現在のネット・バンキング利用者の3%がアグリゲーション・サービスを求めています。つまり30万人です。その人数は増える一方でしょう。ただ、これにより顧客を抱え込めると考えるのは少し早計です。他社にも簡単に提供可能な機能であり、顧客が移行する際の障壁も余り高くないからです。

アグリゲーションを本格的に普及させようと思えば、主要な銀行全てをサービスに取り込む必要があります。システム対応には膨大な費用が必要となります。各顧客が指定した銀行のネットバンキング・サービスから顧客の代理として、口座情報を引き出す必要があります。銀行によって画面設計は千差万別ですから、必要な口座番号・残高情報・期日情報・金利情報などの必要情報は、個々に抜き出す処理が必要です。更に、各銀行ともに頻繁にWebサイトをリニューアルしています。そのフオローだけでも大変な労力になります。XMLでデータを交換できるようになっていれば、対応は容易ですが、そのような技術インフラを装備している銀行は稀です。

米国では1億3千万世帯の約18%がネットバンキング利用者であり、その3%がアグリゲーション・サービスを利用していると推定されています。(ターナー社調べ)約70万世帯です。4、5年後には450万世帯が使うという推測もあります。最初に提供したのは、OnMoneyComというポータル会社ですが、即座に大手銀行が追随して、ついでネット銀行、証券会社の順番で参入しています。日本とは参入順序が全く逆なのが興味深い現象です。その理由を良く考えておくことが、ネットで金融サービスを展開する時のポイントとなります。