クレジットカード会社の事務提携(丸井とOMC、セゾンとUC)


1月24日にOMCカードと丸井は、共同事務子会社の設立を発表しました。3月に新会社を設立、両社から250人が出向し、パート合わせて1450人の陣容で4月から業務を開始するそうです。会員募集、入会審査に始まり、回収事務、会員管理などを受託代行します。両社以外にも外部販売を狙っているそうです。流通系大手の緊密提携ということで注目されています。

1月30日には、クレディ・セゾンとUCカードがみずほ銀行の本体カードと合わせて事務・決済の共同会社を設立すると発表しました。10月に新会社を発足させ、来年4月までに各社の業務を移管するそうです。両社は、2010年にはシステム共同化を予定していますが、バック業務を先行する形となります。オリコが参画する可能性も指摘されています。

今年の4月には、MUFGのUFJカード、ニコスの統合が行なわれ、DCも続くことになっています。こちらは、当初から経営とシステムの統合が予定されています。三井住友カードも、合従連衡とIT化加速の流れを受けて、次期シスを計画しています。

カード会社の戦略的動きが急な背景としては、以下のようなことが列挙できます。

        貸金業法改正により、大きな利幅が期待できなくなった。

        ポイント制の普及とポイントポータビリティの進展で顧客管理、加盟店管理の仕組みが急変。

        鉄道系カードやエディなどICカードを使ったプリペイド・カードがクレジット機能を持つようになってきた。

        カード、携帯、ETCなどメディアが多様化するだけでなく、デビット、クレジット、プリペイド、ポストペイなど決済手法も多様化している。

        公金収納などクレジット適用範囲が拡大し、取引量の急増が想定される。

        ハ−ドの革新のみでなくBI技術が進展し、取引データ加工による高付加価値化が期待できる。

        通信系や鉄道系以外にも郵貯銀行や郵便局会社の参入を考えると、競合あるいは協調のためのインフラ整備が急務

        電子マネーやポイント(企業通貨)に対する規制の動きがある。

などです。

各社の発表では、プロセシング業務などバック・インフラで規模のメリットを追求することで、単位コストの低下と新規業務対応の迅速化を狙っていると言います。巷間、カード会社は4社に集約されると言われますが、果たしてそうでしょうか?生き残りを噂されるカード会社(グループ)は共同化を含めた新システム対応を急いでいます。しかし、どこも順調ではないようです。ビジネスのスピードと開発のスピードが違いすぎるのでしょう。このままでは、ビジネス面でもシステム面でも大きな挫折となりかねません。

顧客にとって、ポイント・ポータビリティが当り前の今日では、保有カード・ブランドに対するロイヤルティはありません。また、カードでは移行障壁が低いですから、簡単に変更されてしまいます。顧客をつなぎとめるには、永遠に優遇処置を追加し続けることになります。それで、利益を持続できるのでしょうか?

意外と安定的高収益を期待できるのが、プロセシングの分野です。顧客からは誰が処理しているか見えません。一方で、規模のメリットと技術革新の適用は容易です。カード業界も他の金融業界と同様で、アンバンドリングが進んでいるということでしょう。現在は、パブリッシングとプロセシングに分れつつありますが、それぞれが更に分割されることになるでしょう。分割されたプロセス分野で、最も効率的処理を実現できる企業が寡占の実をとることになります。こうして見ると、カード各社がプロセシングの共同子会社を設立する意図が深読みできると思います。本当にそうかは保証できませんが。

こうした流れから見れば、メガバンクや地銀が発行した本体一体クレジットカードが不調な理由が見えてきます。遠からず本体カード戦略の見なおしが必要になります。撤退だけが選択肢と言う気はありませんが。後発による加盟店の少なさやブランドの問題ではありません。必要以上の枚数を持った顧客に、メインカードとしての機能・サービスを提供できないからでしょう。銀行機能から分離したクレジット(発祥機能は米州札と欧州各国通貨の両替、TCに発展して、クレジットとなった。)をもう一度、バンドリングするのであれば、原点に戻って商品設計が必要です。

さて、利用目的、決済手法、使用メディア、業務プロセスなどでアンバンドルされた機能を、各社が得意分野に応じて担当することになるとします。それぞれのプロセスは顧客にとって一連のシームレスな処理でなくてはなりません。それを実現するために必要なビジネス・プロトコル、ネットワーク、DB連携、アプリ連携を実現する仕組みがあれば、後は、それぞれに得意な企業とITベンダーが実装することになります。これを、メガなどがグループで行なうのか、それとも、業界全体で行なうのか。実力・実績ベースのディファクト狙いで良いのか。少なくとも、行政やその意を受けた協会主導では、ろくなことにならないのは確かです。リードできる立場にあるベンダーは一社しかありません。