リース業界再編(金融系リース会社の合併相次ぐ)

10月13日に三井住友銀リースと住商リースの合併が発表されました。当合併では、オートリース関連会社も同時並行して合併するということです。18日には、三菱銀行グループのダイヤモンド・リースと三和・東海グループだったUFJセントラルリースの合併も発表されました。住友信託も13日に、提携先の松下フィナンシャルサービスと住信リースを合併すると発表しています。住友系の合併は商社系と銀行系で、三菱UFJ系では銀行合併に伴う関連会社の統合という違いがあります。ただ、資産規模1兆円を目指した新たな戦略展開という側面は共通です。住友がオートリースを別会社のまま存続させることや、MUFGが東銀リースや日信販系の日本ビジネスリースを別建てのままとい

オリックスというガリバーが存在し、市場規模8兆円とされるリース市場は、長年平穏そのものと言える産業でした。ビジネス・モデルは旧来のままで、ITを使ったイノベーションとも縁遠い業界でした。それが、リース会計基準が変更され、金利上昇が懸念されるに至ってようやく動き出そうとしています。三菱UFJ系は、グループ再編の一環として随分と以前から検討してきたのでしょうが、急遽見切り発車したようです。

住友グループは、オートリースに軸足を置こうとしているようです。確かに保有台数の4%でしかリース利用がないオートリースは成長可能性のある分野でしょう。MUFGグループは三菱商事、三菱自動車と組んだオートリース強化だけでなく、不動産、PFI、シンジケートローンなど企業向けと合わせて個人向けファイナンスも強化するとしています。ノンバンク業務とか銀行周辺業務などといわれる事業分野が、総合金融サービスにおける中核事業の一つになろうとしています。みずほグループにも有力なリース会社が複数あります。遠からず合併が発表されることでしょう。

前述したように、リース業界のイノベーションは遅れています。直接的な営業ルートはなく、顧客管理もなく、リース資産の個別管理もない業者が多いのです。紹介された案件で金利競争を行い、月々の請求入金管理だけをしているように見えます。リース資産の中途解約、満期解約なども顧客の言うままです。提案営業など全くありません。必要がなかったのでしょう。大手や本体の製品販売に特化したリース会社はまだしも、地銀グループのリース会社などはどうするのでしょう。これから始まる金融工学と会計テクニックを使った商品開発競争にどう対応するのでしょう。メガグループとの提携しかないのでしょうか?

大手リース会社は、陳腐化しすぎたITシステムの更改に踏み出しています。300億円とも400億円とも言われる大プロジェクトです。メガ系リースも近い将来、次期システム開発に着手するでしょう。合計1千億円以上の投資規模となります。筆者は嫌味で言うのですが、「どうやって開発要員を集めるのですか?ソフト開発だけで500億円を超えますから、全体で5千人年は必要ですが、どこにもいませんよ。ましてや、リース業務を熟知した技術者なんかまず存在しないでしょう。」リース会社IT部門の方は「そんなことはないでしょう。金さえ出せば人の手当てはできると思いますが。」と言います。「質を問わなければいますが、それはプロジェクトを破綻させるだけです。IT業界の実状を考慮しないIT戦略は、空論にすぎません。何で皆さん、同じ時期に同じことをなさるのでしょう?」と筆者は駄目押ししてしまいます。実際、誇張でも何でもなく、質を伴う(特にアプリ開発)技術者は払底しています。

金融の市場化とサービス産業化は、グループ戦略の再構築を必要とすると、このコラムで繰返し強調してきました。実際、メガグループでもグループ戦略の巧拙が業績に大きく影響するようになっています。しかし金融業界のグループ戦略は、まだまだ戦略的とは程遠い展開です。グループとしての経営ビジョンや事業戦略が確定していないこともありますが、関連会社に対する本体のガバナンスが欠けていることも原因です。リース会社だけでなく、他にもカード会社、ファクタリング、サービサー、信用保証会社、事務代行会社、システム会社、不動産管理会社、保険販売代理会社などなど多くのグループ企業があります。これらのベクトルを一致させ、グループ全体のシナジーを発揮させるためには何が必要か?その時にITをいかに活用するか?銀行オンラインの再構築よりも優先順位の高いテーマだと思うのですが。(何故なら、銀行次期システムと言っても、商品もサービスもプロセスも殆ど何も変わらないシステムばかり作っているからです。)

金融グループのシステム戦略を考えるに際しては、銀行業務だけ知っていても意味がありません。ノンバンク業務に加えて、物流や商流の知識も必要です。使う技術もRFIDやQRコードなど金融では軽視されてきた技術も必要です。業務知識の業際化が必要です。金融機関には無理かもしれません。大手IT企業の方が人材を揃え易いでしょう。しかし、業種と製品で分断された大手IT企業にも限界があります。こうした制約を取り除きつつ、専門特化技能と業際知識を最適化する解を見出すIT企業が勝ち残るものと思います。