銀行営業時間の規制緩和


ニッキン平成17年12月23日付けが銀行の営業時間自由化を報じていました。代理店制度導入に関連した政省令改正に合わせて、既存店舗でもリテール店舗に限って営業日と営業時間の規制緩和が行われるという内容です。日経新聞の1月3日号でもほぼ同じ内容の報道がなされていました。

リテール店舗とは当座預金を扱わない店舗ということだそうです。であれば個人取引だけでなく、法人取引も可能となります。最近の法人は、融資を受けていなければ決済口座として当座ではなく、普通預金や決済預金を使う企業が多いからです。銀行としては要員配置を効率化しながら顧客サービスを向上させることが可能となります。今まで厳しく規制されていたのが不思議な話で、銀行員は午後3時までしか働かないと思っている顧客もいます。手形交換や銀行間為替取引の受け付け時間がネックですが、それだけが理由ではありません。窓口閉鎖後の事務処理は大変な種類と量で、1円すら間違いのないことが要求されます。そして5時が定刻ですが、実際は夜遅くまでの残業がほぼ毎日です。

銀行全体としての締めは、最も遅い店の作業が終了してからとなります。実際には一定時間にオンラインを閉局して、その後の処理は翌日扱いとなります。でないと翌朝のオンライン開局に間に合わなくなります。閉局後のナイトバッチに長時間を要する銀行が多いのです。バッチ処理は膨れあがる一方ですが、二次オンライン以来、抜本的な整理がなされていません。システム再構築の極めて思い課題となっています。4月から時間延長をする店舗でも、当日処理の締め時間は今と変わらない銀行が多いでしょう。

銀行の休日は政令で、営業時間は省令で定めることになっています。政省令は、実質的に所管国務大臣のめくら版ですから、金融庁がその気になれば何とでも変更できます。銀行界からは規制緩和の要望が昔から提出されていました。それが認められなかったのは何故でしょう。人員の少ない小規模金融機関に不利だからとする見方があります。防犯や不正防止のためには、一定数以上の行職員が勤務する必要があります。また、労務管理面での負担が大きいこともあります。システム対応のできない金融機関もあるでしょうから、こうしたことを踏まえて激変緩和処置として個人ローンや相談コーナーの時間延長から実施してきたのだと思います。ところが、郵政民営化を受けて、代理店制度が大巾に緩和され、その結果として営業時間の自由化に向うこととなりました。郵政民営化が長年の懸案を一挙に片付ける契機となっています。

長年の懸案とは、代理店制度や営業時間というチャネル関連だけのことではありません。銀行の他業禁止原則を他業側から崩しつつあり、護送船団といわれる中小金融機関保護という原則をもなくしつつあります。完全自由競争の原理になっています。こうなると、協同組合や長信銀などの普通銀行以外の業態にとっては、現在の業態法が邪魔になります。最後の長信銀である‘あおぞら銀行‘が普銀転換するのも、この流れなのでしょう。信用金庫で普銀転換するところが出てくる筈です。信託銀行は受益者利益を大前提とする業務体系であり、一段の専門化と分業化を進めながら、普通銀行と併存することになりそうです。

このように、銀行業務とチャネル・サービスが多様化しつつ業態間の垣根がなくなっていきます。25年前に設計された銀行第三次オンラインの業務要件とは全てが変わってしまっています。しかし、一元化された顧客DB、総勘定元帳を中心としたオンライン処理の複雑な組み合せと膨大複雑なバッチ処理という第三次オンライン・アーキテクチャを見なおす動きはありません。単順にオープン系インフラに乗せ替えたり、SOAやハブ&スポークとモデュール化などといった謳い文句だけのシステム再構築が多いのが実状です。アウトソーシングや共同化で戦略的企画機能強化を謳った銀行は、何を企画しているのでしょうか?戦略はタイミングが大切です。どんなに検討を続けても完璧な解は存在しません。変化対応力を持つ新システムとITケイパビリティの確保が最大のIT戦略だと思います。構想力と実装力が劣化している状況を憂いていても仕方ありません。数名のトップガンを集めれば、次期アーキテクチャを作るのも難しくないと思うのですが。