システム統合(MUFGがDay2を半年延期)


日経新聞平成17年12月20日付けの報道です。MUFGは、オンライン・システムの片寄せ時期を半年延期して、2008年6月とする方向で検討しているとのことです。

今年10月に合併予定でしたが、BTMとUFJ両システムの結合テストを完璧にするとの理由で年明けの合併に延期したことはご存知のとおりです。5回の全店テストも順調で、稼動基準をみたしたので11月8日にテスト完了を宣言しています。12月からは両行のATM相互乗り入れを開始しており、実質的に結合システムを稼動させてしまいました。結果としては、当初計画に比べてATM停止日数が大巾に増えて、3ヶ月延期の追加費用を発生させただけではないかと金融庁の横槍を非難する意見と、やはり安心して合併を実施できるという意見があります。両行のシステム統合プロジェクト・メンバーの多くは特に11月以降、時間を持て余していたようです。

MUFGのシステム統合は3段階に分かれています。合併時の相互乗り入れ(Day1)、約2年後のBTMシステムへの片寄せ(Day2)、それから新システム開発(Day3)です。筆者はもともと、合併時の片寄せや単純な書き換えによる新システムには経済合理性がないので、相互接続にとどめるべきだと考えています。両行が同じ商品や事務手続きを提供し、どちらの店でも手持ちのカードや通帳を使えるようにしても、顧客にとって実質的には大差ないと思うからです。合理化を追求できないとする考えもありますが、店内支店(BinB)や後方事務を集中化すれば合理化の成果は得られます。最大の問題は顧客情報の名寄せと融資先への融資条件の統一でしょうが、それとて片寄せして廃棄システム独自の機能を存続システムに搭載しなおすコストに比べれば小さなものです。何より時間を節約できます。特に、片寄せ直後から次期システム開発に着手するくらいなら、相互乗り入れしながら次期システム開発をした方が戦略にも経済合理性にも叶うと思います。

その意味では、MUFGの3段階方式には賛成しかねる(外部の余計なお世話ですが)のですが、聞く所によれば単純な片寄せではないようです。Day3で目指すTobeモデルから逆算して、Day2ではかなりの機能を作りこむ予定だそうです。つまりDay3の一環としてDay2が位置付けられていることになります。インフラがどうなるかは判りませんが、営業店端末などはDay2で更改するようです。ということは、今回の半年延期を消極的評価する必要はなく、Day3の第1フェーズと考えて良いかもしれません。

みずほFGもCB、リテールのシステムを1インフラ、2アプリで新規開発の予定だそうです。来年秋から本格開発に入り3年程度で稼動だそうですが、大変なスピードです。メガ・バンクともなればオンラインのアプリ・ステップ数で2千万から3千万ステップ、バッチに至っては5千万ステップ以上あるでしょう、これらを書きなおしながら、機能の追加強化を行うのですから、郵貯の民営化対応並みの作業です。仮に7千万ステップを開発するとすれば、極端に少なく見ても7万人月の作業です。第三次オンラインの倍の規模となります。実際には各種システム間のインタフェースやDBの再構築がネックとなって、その倍くらいの開発労力となるでしょう。

それを管理できるPMが存在するのか、質を維持しながら数千人のSEを確保できるのか?同等規模の金融関連プロジェクトが何本も並行して走りますが、金融関連スキルを持ったSE数が日本に存在するのか?金融でオフショア化できる分野は限られています。・・・・難しい制約が数多く出てきます。既存ソフトを活用すれば、新しいインフラとの整合性の問題も出ます。多くのアプリはJavaで作ることになるでしょうが、Javaを使いこなすSEはまだまだ希少です。

今日の銀行オンラインは、日々機能変化します。システム統合が単なる一本化では、その間に新商品や営業・事務の効率化が遅れるだけで、顧客にも行員にもメリットがありません。そうした中で、UFJが頻繁に新サービスの開発を公表しています。これを単に、BTMに対する存在感誇示ととるのか、両行が同意の上で役割分担しているのか。聞こえてくる話では、擦り合わせた上のようです。営業店の窓口端末やATMの機能統一も大規模な投資となりますが、ここでは富士通の銀行端末グループが活躍しているようです。通帳の扱いにしても印字制御や活字調整などで、両行を満足させる提案と技術提供を行っているそうです。競合他行が期待するようなシステム統合による新業務開発遅延は、余りないと言えるかも知れません。まずは、年明けのDay2を大過なくクリアすることが大切ですが。行政もマスコミも、さしたるトラブルでなければ許容して欲しいものです。これほど大きな移行プロジェクトでは、人的ミスを含めて何もないのが不思議です。些細なことでイチイチ責任を取らせていては、誰も残りません。これまで余りに多くの貴重な人材を失っています。