銀行代理店(業態間代理を模索)


ニッキン平成17年12月2日号の記事です。メガバンクが信用金庫に事業者ローンの代理店契約を打診しているとのことです。銀行代理店戦略では、一般事業会社よりも他金融機関を代理店とする方が、安全性や実現性が高いのでもっともな動きです。メガバンクは、既に郵貯にもアプローチを行っており、地域や商品で的を絞った代理店展開を考えているようです。もっとも、預貸率が下がり続ける信金としては、メガに融資案件を廻す必然性は皆無です。ブランド力のあるメガと組んで融資先の新規開拓できれば融資額増加が期待できますが、信金には規模等の条件を充たす会員以外への融資や営業地域外への融資に厳しい制約があります。ですから、あくまでも地域内の中小企業が対象となりますので、地元の地銀や第二地銀、信組、農協などから融資先を奪うしかありません。それが地域金融のすみわけ秩序を前向きに壊せるのか、地域内他金融機関からの反発逆襲に耐えられるのか?仮に成功するとして、競合する他中小金融機関の事業安定性に問題が出た場合、誰が域内金融秩序を守るのか?何かと押しつけられる立場の地銀としては見過ごせないでしょう。また、晴れた日に傘をさしかけ、雨になると傘を取り上げるというイメージの強い都市銀行をメインバンクとする中小企業が多いかも疑問です。いずれにせよ、信用金庫としては、都市型、地方型金庫それぞれが、長期的展望を描いて、信金中金の活用を含めた事業戦略を考えなくてはなりません。合併による規模拡大と経費削減だけでは、いつまでも持続できません。

日経金融の12月5日号では、農中の上野理事長がMUFGやみずほFGだけでなく、郵政とも提携する可能性を発言しています。当然に代理店形態が中心となるでしょう。農協もつらい立場が続いています。千葉県では、農協の信連事業不要論すら出ています。専ら農林中金が指導して、支えています。しかし、それも息切れしつつあるようです。農協が現在のように行き詰まった原因は、確かに農業が経済環境の中で相対的に衰退しつつあることが第一でしょうが、金融市場の変化に対応できなかったという経営力にも原因があります。数年前に、農協の大会で講演したことがあります。閉会の際に会長挨拶があり、戦後の日本を支えた自負を延々と語り、最後に全員起立で日本国万歳を三唱しました。会合の最後に万歳をやる業界は、金融では農協くらいだろうと思いました。万歳がいけないというのではなく、過去に拘ってもということなのですが。変化への対応力がなくては、これからの金融業界で生き残るのが難しいことは間違いありません。農協だけでなく、全ての業態が協会や中央機関のような互助組織の見直しを迫られています。

銀証分離、長短分離、中小分離などの形での専門銀行制度は、ほぼ消えました。代理店制度で、製販分離が行われて金融機能のアンバンドリングが進んでいきます。やがてIT産業のように水平分業化していくというのが筆者の持論ですが、総合化できない規模の小さな金融機関はどうするか?筆者は余り悲観していません。金融商品のように持続的差別化が難しい分野は、開発力だけで勝ち続けることはできません。リスク管理などの高度に専門的な業務は、それに特化した専門業者を使えば良いでしょう。規模が小さくてもメガに勝てる方法は、顧客接点にあります。販売力、サービス提供力です。ここで独自性を出すためには、ハイタッチとハイテクを組み合わせた顧客サービスが重要です。販売だけに特化するのであれば、預金取扱い機関としての免許は不要となります。乗合の代理店になれば良いからです。行政コストとリスクを大巾に下げられます。このような戦略を取る金融機関に必要なITとは何でしょう。表面的なCRMやコンサルティング支援では、すぐに馬脚をあらわします。逆に成功すれば、横展開することで、一時期のダイエイーのように業界革命を起こせるかもしれません。

フロント業務をレゾンデートルとする金融サービス会社にとって、最大の戦略はサービスです。客層や商品によってサービス項目とレベルを自在に組合せることが必要です。サービスは、金融機関の経営計画で最も多く使用される言葉ですが、具体的に掘り下げて戦略として展開している事例を知りません。ということは、益々、差別化手段として有効なのですが。