プライベートバンキング(団塊市場向け金融商品)


日経金融平成17年10月19日号の記事です。2007年から60歳定年退職者が急増する団塊世代向けに、金融各社が特化商品を先行投入し、出足が好調だとのことです。三菱UFJ信託、住友信託、野村アセットなどを紹介しています。特にMTBが2001年11月から開始した「エクセレント倶楽部」が大きく先行しているようです。

第一生命経済研究所の調査試算によれば、通常10兆円前後の退職一時金が、2007年から2010年の4年間は毎年15兆円程度となるそうです。また、この世代は、親からの遺産相続世代でもあります。毎年相続される金融資産は10兆円以上という試算もあり、その多くを団塊世代が受け取ることになるそうです。住宅ローンや教育資金の手当てを終えた世代は、大病や家の建て替えを除けば、大きな資金を必要とするイベントはありません。老後資金を計算しながらも、支出性向は高まります。それも、量より質重視ですのでコモディティではありません。この層を狙って、新しい雑誌、旅行、趣味講座等々が続出しています。

この層全体をオンデマンド、オーダーメイド型PBの対象とするには無理があるでしょうが、かなりの多くはパッケージドPBのセグメントとなります。三菱UFJ信託のエクセレント倶楽部の会員は、35万世帯だそうですから、少なくとも3兆5千億円以上の預り資産ということになります。当クラブには、2年以上の取引期間と流動性預金を除く預け資産が1千万円以上であれば、入会金、会費無料で入会できます。(ただし、1年毎に資格審査がある。)それも個人ではなく、同一支店であれば配偶者、子供名義の預け資産も合算できて、名義人全てが会員となれます。提供サービスとしては、会員専用デスクやテレホンバンキングなどの基本サービスの他に、定期預金金利・住宅ローン金利・各種手数料の優遇、遺言・不動産仲介等の資産管理支援、健康・介護、各種レジャー、冠婚葬祭サービスなどが専業会社との共同で提供されます。

サービスの内容やレベルは大きく三段階に分かれていますが、預け資産1千万(G)、2千万(Gプラス)、5千万(D)が区分で、GプラスとDとの違いは、名医紹介サービスの程度です。つまり、2千万以上の顧客を狙っているのでしょう。三菱信託は、もともとシルバー向けビジネスを試行錯誤してきました。日本生命と組んで大型病院と付随する大型マンションを建築したり、富裕層向け老人ホームなどを展開しています。その経験と人脈、提携先を活用しているのでしょう。グル−プには、都銀、証券の他にウェルネスマネジメントやメリルとの合弁PB証券など多くのPBプロバイダーが存在します。その中でMUTBは、エクセレント倶楽部をメイン商品と位置付けているようです。信託ならではのサービスメニューです。

ところで、団塊世代の平均貯蓄高は2050万円程度です。世代人口680万人の約4分の一が職務歴や資産額で自分を勝ち組と評価しているそうです。また、PC利用者と非利用者には資産運用スタイルで大きな違いがあるそうです。セグメンテーションの簡単な世代のようです。つまり、魅力あるセグメントの100〜150万人を抽出できれば、かなり旨みのあるビジネスができます。一般事業会社を代理店(本日、20日に衆院本会議に上程予定です。)として、様々なサービスを創るのもよいでしょう。

昨年来、PB用のソフト・パッケージ数本を検討しました。どれもCRMを加工した程度のものです。勘定処理との連動もありません。パッケージ自体が高価でカストマイズの大きくなる製品が多いのが実状です。無理して連動させる必要もないかもしれませんが、少なくとも取引連携やアグリゲーション、カストディ、個別プライシングなどの機能は必要です。エクセレント倶楽部は、まだそのようなシステム・レベルではなく、勘定系と情報系をバックにテレホン・センターで対応しているようです。やがてシステム・アーキテクチャ全体を整理する必要が出るでしょう。Webサービスを全面的に適用できれば良いのですが、まだ、技術的には成熟していません。むしろ、福利厚生サービスのアウトソーサーが保有するシステムの方が、カフェテリヤプラン方式などをサポートしているので面白いかも知れません。金融ITの文化から一度離れて、金融を通じて実現したい顧客の目的(シニアという概念は捨てるべき)をサポートするモデルが必要です。