Webサービス

日経新聞(平成14118日号)が始めてWebサービスを取り上げました。東芝とカーネギーメロン大学が共同でサービス検索技術を開発したとのことです。意味検索などの技術で登録されているアプリケーション・サービスの中から自社に適したサービスを検索するエンジンに使えるといいます。技術的には面白いかもしれませんが、私は記事内容よりも日経新聞がWebサービスを主題とした記事を始めて掲載したことに意味を感じます。米国では一昨年後半から注目を浴びているのですが、日本では具体的事例の記事対象がなかったのでしょう。

Webサービスという名称が悪いので、どこかのIT企業がインターネットを使ったASP事業に使うという程度の認識しかされていません。数多くのIT専門家と議論しましたが、その意義を正確に認識している人は殆んどおらず、用語のみ先行しているのが実情です。しかし、異なるサイトにあるアプリケーションをネット上で連携処理でき、そのプログラム言語にはJavaやVBを使い、データ連携にはXMLをベースにしますので、開発と保守の生産性は急激に向上します。連携させるための技術的プロトコルはSOAP/WSDL/UDDIなどの国際標準であり、IBMやMSがソフトツールを積極的に発表しています。ビジネス・プロセスやデータなどのビジネス・プロトコルを統一できれば、サーバー上にオブジェクト設計のようにアプリを開発すれば稼動します。ソフトのダウンサイジングと再利用という積年の願望が実現することになります。従来のIT部門中心、大手ハードベンダーを頂点としたIT業界の重層的下請け構造を根本から破壊するかもしれません。大規模投資を前提とした既得権者は、致命的影響を受ける可能性があります。一方でITを理解したビジネス・ユーザーとビジネスを理解したITエンジニアが主役となるでしょう。ITとビジネスの一元化が進むことになります。

実際には、セキュリテイやトランザクション管理など解決すべき課題が数多く残っているのですが、その多くは不特定の組織間におけるダイナミックなアプリケーション連携を行なう時の問題です。特定組織内か閉ざされたグループ内で利用する場合には大きな問題はありません。あるとすればレガシーシステムを生活基盤とする社内外の技術者たちでしょう。彼らはWebサービス・テクノロジーの弱点を天才的に羅列するからです。

金融業界は早晩、垂直構造から水平構造にシフトします。つまり制度と慣習に守られたビジネスモデルでは生存できず、独自性と専門知識・技能を基盤とした水平構造に変わります。その際に従来の規模のメリットは、大規模なるが故のスピードの遅さが大きなデメリットとなります。日本では、Webサービスの利用側からの取り組みがJR東日本などの数件に止まっています。米国では、金融業界だけでも数多くの取り組みが行なわれています。おそらく年内には本格的な活用が始まるでしょう。ここでも日本は遅れてしまっています。スピードの世界では、学習曲線のカーブに乗り遅れることは、永遠に差が広がることを意味するのですが。

Webサービスの世界で求められる技能は、業務知識に基づいた業務プロセスとデータのモデリング技能、バリューチェーンの中で自社のコンピテンシーをソフト化してロックインする戦略的思考力、異なる組織の目的・行動を統合する政治力でしょう。プログラム開発は、JavaやXMLなどに精通した中国やインドなどのエンジニアとの価格競争になるでしょう。むしろ、業務コンポネントが小さくなり、コンポネント間の連動はフレームワークが行ないますので、海外エンジニアの利用が容易になると思います。

Webサービスに関する報道は、今春あたりから盛んになるでしょう。正確な報道がなされないと、空虚なブームになってしまい普及が遅れることが懸念されます。我々は、その本来の意義を見失わず、現実的な対応をとっていくことが必要だと考えています。