アグリゲーション・サービス(NTTデータとNRI提携解消)

日経BizTechNews(平成1418日付けhttp://biztech.nikkeibp.co.jp)によれば、昨年末にNTTデータとNRIは、アグリゲーション・サービスに関する提携を解消したとのことです。両社の提携については、当サイトでも昨年3月にコメントしましたが、結局は合弁会社設立に至らなかったようです。見こんでいた金融機関の出資が得られなかったのが理由だとされています。金融機関が新規投資に慎重だったようですが、それよりも金融機関以外の企業による口座集約サービスに対する警戒心が大きな理由だと思われます。

ネットで行なうアグリゲーションは便利ではありますが、セキュリテイやプライバシー確保の面から利用者の安心感を得るには大きなハードルがあります。利用者・金融機関双方にとって中立性と信用が不可欠です。その意味ではNRIやNTTデータは一般個人に馴染みが薄く、金融機関にとっては新規参入者という色合いが強いようです。

他のネット・ビジネスと同様、アグリゲーション・サービスもチキンアンドエッグ型のビジネスです。より多くの金融機関の参加がなければ利用者はつきません。利用者が多くなければ、参加金融機関が集まりません。それをゼロからスタートすることに無理があったのかもしれません。最も素直な推進方法は、銀行協会が主催することでしょう。それも全国銀行に限らず、信金・信組・郵便貯金・農協・証券・保険・カード会社など全ての関連業態に開放することです。参加するか否かは、個々の金融機関が決めれば良いことです。

このような大同提携の案は過去にも幾つかありました。実現しなかった理由は、中小金融機関の保護です。例えば、他行ATMを使って現金を引き出すことは出来ますが、入金はできないのが一般的です。技術的な問題はありません。中小金融機関の預金が大手銀行に集められてしまうからという理由だけです。預金者の立場からすれば、何とも不合理な理由ですが、中小金融機関が消滅してしまっては困る企業や個人が存在することも確かです。金融の世界が単純な市場原理だけで良いのかという根本の問題になってしまいます。

ですが、社会的・経済的・技術的な変化によって、人為的な垣根がその意味と効果を失っております。いたずらに現状維持を図ることは、むしろ破綻を早めることになります。
別の視点から見れば、金融ビジネスにおけるチキンアンドエッグをブレークスルーする道が見えます。地域金融機関です。地方ですと地方銀行が域内預金者の50%前後を確保している県が殆どです。その地銀が域内中小金融機関と共同でサービスを提供すれば、地域の利用者をほぼ全てカバーできます。地方はまだネットの普及が低いのですが、利用価値は都会以上でしょう。ニーズ、シーズ、普及率のインバランスを主体的に解消するのか、環境任せにするのか地銀経営者の理解と戦略性を期待したいものです。IT費用は少額なので、ネット戦略と営業展開力さえあれば良いのです。残念ですが、インターネットの意味と技術に無関心な地域金融機関が多すぎるようです。

今回の提携解消を聞いてもう一つ思うことがあります。提携の難しさです。人と若干の資金を投入して合弁したり、販売提携することは簡単です。それを新聞発表することは更に簡単です。有名企業ですと大きな記事にしてくれます。でも、その結果をフオローしません。 (自分で取材するより、企業の発表を記事にすることが余りに多いマスコミの報道体制に我々は注意しなくてはなりません。) ビジネスか資金があれば参加希望者が集まってきます。なければ話だけ聞いて去っていきます。提携するということは、自社だけでは不充分だという意味です。不足する機能と資源をいかに集めて、プロセス化して連動するようにするのか。その時のキャッシュフローはどうなるのか。提携戦略では、異なる思惑と文化と行動様式を一本化する必要があります。担当者に逃げ場があるだけ難しくなります。成功させるためには、約束された成功がなくてはなりません。だから成功事例が少ないのでしょう。