システム統合(東京三菱、UFJ)


東京三菱とUFJの合併におけるシスム統合がマスコミの注目を浴びだしたようです。1月14日付けニッキンと1月17日付け日経に記事が掲載されていました。注目案件ではありますが、これまでマスコミは扱いを控えていました。三井住友がUFJに統合を申し入れており、その結果が出ていないことが遠慮させていたのでしょう。三井住友に動きが見られない一方で、BTMとUFJの統合プロジェクトが活発化し、2月には基本方針を発表予定となったので、システム統合にも触れるようになったのだと思います。

ニッキンは、継続して取材してきただけに、これまでの経緯を紹介しています。合併当初はRC接続で、その後に新システム開発と計画していたが、片寄せ方式が浮上してきたといいます。双方の言分を銀行名を伏せながら紹介していますが、わかる人間には、どちらの銀行のどのあたりの発言かは容易に推測できます。「一方の銀行は、みずほの時のように第三者による評価を主張している」とのことです。記者は金融改革プログラムの文面を参照しながら、システム選択における透明性の確保と外部専門家の評価が必要としています。

日経の記事では、900の個人向け店舗中で200店、380の法人店舗で90店程度が統廃合対象、5万人いる要員のうち一万人を削減・配置替えすることで年間2000億円超の経費削減をめざしているとリストラ策を中心に紹介しています。ITに関しては、IBMと日立というベンダーの違いを指摘しながら、BTMには地銀共同との関連があり、UFJではオープン化が進んでおり、簡単には決められず、両行の主張が対立しているとしています。

両記事とも表現は違うものの、触れている事項が同じなのでニュースソースは一つのようです。これまで、両行も両ベンダーもシステム統合に関しては完全に黙秘してきました。内部でも情報を持っているのは一握りの人達だけでしょう。通常は、立場の弱い人達がマスコミを使うことで自分達の意見を言おうとするものですが、今回は異なるパターンなので、何が起こりつつあるのかと怪訝に感じます。

みずほの時もそうでしたが、第三者は全く役にたちませんでした。むしろ混乱を助長したかもしれません。それはそうです。巨大かつ複雑なシステムを技術面だけでなく、業務面、組織面からも理解してボトムアップ方式で客観的に比較検討することなど、数ヶ月でできるものではありません。経営戦略(あればの話ですが)からトップダウン方式で、比較項目を抽出、重み付けして比較するだけでも半年以上は必要です。それも、20年以上にまたがる技術経験と銀行業務全てに精通した専門家が多勢いた上での話です。そんな専門家は日本には皆無と言って差し支えないでしょう。みずほがコンサル募集した時にも、まともなコンサルは、「これは自分達には出来ない。」か「コンサルの扱う案件ではない。」として辞退したものです。金さえもらえれば、出来ないことでも引き受けるコンサルほど、始末におえない存在はありません。自分で出来る、出来ないを判断できないコンサルすら多勢います。

ボトムから比較検討しても何のメリットもありません。両行のシステムともに、これまで大きな問題なく作動しています。というより都銀でもトップクラスです。合併して業務量が増えても対応できるか否かが第一ですが、それを補強する方法は複数あります。次には、戦略上で不可欠な機能のカバー率でしょう。些細なテクニックを比較して優劣をつけることで、競争心(敵愾心)を煽ったり、不満を増大させるようなことは避けるべきです。みずほの失敗はDKBシステムに片寄せしたことではありません。意味のない比較(喧嘩)を現場にさせて、形式的調査を第三者にさせて、経営者が決定責任を逃れたことです。種々の誤解や勘違い、無知があったにせよ、合併の非公式折衝の段階で経営トップ達はDKBシステムの存続を決めていました。であれば、「営業政策や存続させるべき業務処理文化を考慮して、経営トップの自分達が決めた。IT部門の諸君は、その実現のために、協力して頑張って欲しい。次の段階で、世界に飛躍する我々の戦略的システムを構築しよう。」と発表すれば良かったのです。

BTMとUFJのシステム統合に関して、UFJ側のIT関係者は、自分達のシステムが主力として残るとは思っていません。あきらめというよりは前向きに捉えて、自分達の誇る技術力を発揮しようと考えています。外野が、IBMだとか日立だとか騒ぐのを冷ややかに見る余裕すら感じます。むしろ、上層部が余計な気遣い(自行IT部門に対する)や次元の低い見栄を張っているかに見えます。

両行は、ナショナルフラッグを掲げてグローバル市場に打って出る立場です。大きく高い次元でIT戦略を決めることが合併の目的に叶うことになります。