金融改革プログラム(金融庁が金融行政指針を公表)


16年12月24日に金融庁は、平成17・18年版の重点強化プログラムを金融改革プログラムと称して公表しました。http://www.fsa.go.jp/news/newsj/16/f-20041224-6.html

基本的考え方として、@これまでの緊急対応型は一応完了したとして未来志向型へ転換する。

A官主導ではなく民主導で魅力ある市場を創設することで金融サービス立国を実現する。

と強調しています。それ自体に異論を唱える人はいないでしょう。筆者はクライアントのオフィスを訪問する際に、壁にかけられた標語は必ず拝見します。「お客様第一」とか「明るい職場」などとありますと「あー、お客軽視の風潮に経営陣が不満か危機感を持っているのだな?」と会社の実状と経営者の問題意識が判ります。この論法でいけば、わが国金融業界の実状は、緊急時対応で汲々としており、官主導で魅力のない産業だということになります。それを脱するには、具体的施策を適切な時間軸で、かつ変化対応力をもって実行することに尽きます。この変化対応が最重要です。環境は急速に変化しますので、下手に経営戦略だとか基本方針だとかで競走馬の目隠しのようなことをすると、あらぬ方向に行ってしまいます。これが役人の弱い点ですが、さりとて余りに柔軟だと、サッカーの試合中に突然ラグビー・ルールを適用するようなことにもなって非難されます。監督当局はレフェリーですから、ゲームを作ろうとしないことが大切です。ゲーム・メークは、プレイヤーと観客がやることです。

具体的施策としては大項目で7つ、中項目で23項目列挙されています。(詳しくは、金融庁HPをご参照ください。)これを2年間で実行するのは大変な労力でしょう。昔の銀行局時代の人数ではとても不可能です。金融庁も随分と陣容を拡大したものです。それでも、まだまだ要員が不足するでしょう。今年度予算では要員増が大幅に認められたようですが、まだまだ増大する一方だと思います。

日経新聞は、金融改革プログラムの中でも、コングロマリット化対応に注目しているようです。(12月27日号の記事)金融庁が法整備などを通じてコングロマリット化を是認しようとしているのに対して、金融財閥復活の恐れありとしています。証券仲介業務解禁の時と同じように、ある時突然に案が出てきて、「貯蓄から投資へ」という名目の下、いつの間にか制度化されてしまうことを危惧しているのでしょう。

コングロマリット化は、三大メガバンクの誕生で既成事実化しています。この結果、起こるであろうパラダイムシフトは、郵政民営化以上のものになると筆者は思っています。そこに、一県一行制や道州制でも導入されたら、金融サービスは大変な寡占状態となります。金融サービス会社は成り立つでしょうが、国民経済的に立国できるのかは大いに疑問です。この点は充分な議論と配慮が必要ですが、メガ・グループ以外の金融機関にとっては、サバイバル戦略(メガとのスミワケ)を考えておく必要があります。

1月1日付けニッキンでは、新リレバン計画を注目していました。金融庁は3月末までに新リレバン「地域金融の新たな行動計画」を策定し、4月からの実施を求めるようです。地域金融機関は現在のリレバン成果を総括するとともに、収益性と健全性を主眼とした新計画を自主(?)計画として夏までに報告することになります。それからは、細かいチェックと介入を受け続けるのでしょう。例えば収益性という視点では、ROA1.0以上がノルマ化されそうです。地域中小企業融資を強制されながらの、地銀上位行並みROAはきついでしょう。出来ない場合はどうなるのでしょう?地域金融機関が戦々恐々とするのも判ります。

こうした経営課題を持つ金融機関において、ITソリューションは如何にあるべきでしょう?それが、IT部門やITベンダーの存在価値向上のポイントです。主要ベンダー各社が発表している次期シス・コンセプトは、テクニカル・インフラを単に新しいツールに乗せ返るだけとしか見えません。皿が変わって料理が同じということです。コングロマリット経営とリレバン経営のそれぞれにソリューションが必要となります。

コングロマリット経営には、アーキテクチャがしっかりとしたソリューションが不可欠です。シティ・コープのように1万人ものIT要員や30億ドル以上のIT投資を行なうような物量作戦は採用できません。アーキテクチャでは、アプリ体系をどうするかも大事ですが、インタフェースの重要性が更に高まります。

現在のリレバンでは、1万円のHP作成ソフトとExcelがあれば出来るようなITソリューションばかりです。DBと情報リテラシーに根ざして、金融ビジネスにロックインするようなIT活用が望まれるでしょう。

ビジネス・イシューに対応するビジネス・ソリューションを考え、それとITイシューを併せて検討することでITソリューションが抽出できます。「おせんにキャラメル」販売が通用する時代ではなくなっています。