日経 13/12/21

インターネット・バンキング手数料(ジャパンネット銀行)

日経新聞(131221日号)によれば、ネット専業銀行のジャパンネット(以下JNBと略称)は、口座維持手数料を月額1050円から105円に値下げするとのことです。来年3月末までは無料ですが、4月以降は預金額30万円、直近3ケ月の振込額30万円、ローン残高5万円の条件のいずれかに該当しない顧客は口座維持手数料を支払う必要がありました。手数料分の残高のない口座はJNBが解約できる約款です。

JNBの預金者は44万人と言われています。当社のインターネット・バンキング顧客満足度調査によれば、約43%の顧客は、Yahooを始めとした提携ポータルの推奨で口座開設しています。平均しますと、一顧客は月に3回程度のバンキング・サービスを利用しています。その60%程度が振込です。つまり、オークションの精算用に使っている訳です。オークションやネット通販の一件当たりの取引金額は一万円程度ですから、一般の銀行の振込手数料では高すぎます。JNBでは、同行内の場合が52円(iモードだと10円),他行向けでも3万円以上で262円、未満で168円と割安であることが魅力です。

JNBのインターネット・バンキングに対する利用者の評価は極めて高く、総合点ではシテイ銀行に次いで2位ですし、手続き、操作性、サービス時間、サービス内容、トラブル時の対応、セキュリテイ対応の全ての点で上位に位置しています。しかしながら17%近くの顧客が利用を中止するか、他の銀行のネットサービスに変更する意向を示しています。その理由が口座維持手数料です。利用者の中には、預金残高を30万円以上にすれば良いとの考えも一部にありますが、多くはより安いか無料の銀行にクリックアンドチェンジする予定でした。これがネットサービスの怖さです。

JNBにすれば、仮に20万の有料口座の手数料を1000円から100円に引き下げれば、月額2億円近い収入減となります。顧客数増加で補充しようとすれば、200万の新規獲得が必要となります。完全に薄利多売で、規模の経済追求型のビジネスモデルです。しかし、一度市場を寡占化すれば、その安定収入は大変魅力的になります。4000万人のインターネット利用者の内、30%前後はネットバンキングを利用するでしょう。その20%以上のシェアを握れば良いことになります。不可能ではありません。

当社の調査では、個人預金者が口座維持(インターネット・バンキング利用料)に払う金額は最大でも月300円という結果が出ています。ただし、現在大手行の殆どが無料です。振込手数料にしても、他行向けで100円から200円程度です。このコモデイテイ化したサービスをより安く便利に提供することにより単独でビジネスを成立させるのか、クロスセリングのモデルにするのかがポイントとなります。クロスセルと言いましても、認可事業である銀行は、他業禁止ですから広告収入や物販は出来ません。金融関連のビジネスで考えざるをえないのです。そこで新しい問題が出てきます。現在、ネット専業銀行の顧客の大半が若年層で、収入水準も極めて低いのが実情です。無担保ローンの対象とはなっても、資産運用などの販売対象ではありません。恐らく富裕層を抱えた銀行が、ネット専業銀行のコモデイテイ・サービスを利用しながら、クロスセル化を進めることになるでしょう。既存銀行としては、決済などのコモデイテイでも自主性を確保したいのであれば、共同で小口決済ネットワークを構築して、無料或いは極めて安い料金でネット顧客に開放せざるをえなくなるでしょう。その時は、都銀・地銀といった業態別ではなく、郵便貯金、証券、保険を含めたオープンなネットワークにしないと意味がありません。