証券仲介業務(地銀協・第二地銀協が具体策を取りまとめ)


ニッキン平成16年6月25日号の記事です。地銀協の基本問題調査会(頭取級)がグループ経営戦略の方向性を取りまとめたそうです。その中で、保険窓販と証券仲介業務に取り組む上でのモデルを提示したとのことです。同紙には、第二地銀協も証券仲介業務の本格的検討を開始したという記事も掲載されていました。

筆者は、証券仲介業務を単に投信窓販と同様に取引所会員証券会社に株式売買の取次ぎを行なう程度のことと認識していました。この場合、IT対応というよりは、極論すれば電話かFaxさえあれば済みますので、一部銀行や証券系ITベンダーが証券仲介システムを検討していることに違和感を感じていたのです。投信窓販の時のように、「また、何でも出来るというような売込みを信じ込んで、顧客情報をまるまる吸い上げられるのだろうな。」などと思っていました。

ところが、証券業協会の方や大手証券の方の話を聞きましたら、12月に解禁される銀行等の証券仲介業務は、従来とは全く異なるスキームというか、本格的な証券売買仲介業務そのものであったと気がついたのです。迂闊にも、先入観を持って関連情報を聞き漏らしていたということです。

証券仲介業務では、顧客の口座を自行に開設し、顧客から金銭や券面の預託を受け、顧客と行政に対して報告義務を持ちます。顧客に対して、取次ぎ証券会社の名前を明らかにする必要もないそうです。これは、明らかに有価証券取引のOEM販売です。本格的なオープン・フィナンシャル・プロバイダー化が可能になります。今後の金融ビジネスは、市場化・アンバンドリング・水平構造化が進むというのが私の持論でありますが、まさにその時代に入ろうとしていると思います。

本気で証券仲介業務を提供しようと思うと、中堅証券会社並みのシステム対応が必要となります。それを、自前で構築する余裕がないとして特定の証券会社に依存しますと、その証券会社の販売代理店という立場になってしまいます。地銀としては、地域における金融商品スーパーマーケットであるオープン・フィナンシャル・プロバイダーにはなれません。

フロント業務では、口座管理、注文管理、顧客ポートフォリオ管理、商品・銘柄管理などが不可欠です。バック業務では、元帳管理、約定・受渡し管理、入出金・入出庫管理、証券管理、顧客報告、当局・協会報告が必要ですし、取り次ぎ先証券会社(普通は複数)との注文約定インタフェース、保振機構やカストディアンなどとの外部接続なども必要です。2、3年前でしたら、オープン系で構築しても10億円近い投資が必要でした。

このシステムでは、今後予定されている決済のT+1化やSTP化などに対応している必要があります。金融所得一体課税を想定した対応も必要でしょう。証券取引手法も日進月歩です。オンライン・トレード専業証券との差別化を図ることも考えなくてはなりません。地域金融機関としては、独自に開発する資金、ノウハウともにありません。といって、複数証券会社対応ができなくては、参入しても自行顧客の資金パイプ(それも優良顧客の)を取次ぎ証券につなげるだけとなります。

ITソリューションを幾つか調べてみましたが、結局は二、三の独立系ソフトハウスのパッケージやASPを使うしかないという結論です。但し、自行内に業務も関連システム・スキルもないのですから、安定して信頼できるベンダーでなくてはなりません。地銀も第二地銀も、頭の痛い選択を迫られることになるでしょう。それとも、協会主導で共同システムを構築するのでしょうか?