プライベートバンキング調査(日経新聞の調査結果)


日経金融16年6月24日号の記事です。日経新聞は、5千人の高額納税者にアンケート(郵送方式)を実施、366人の回答を得た調査結果の一部を公開しました。

日経グループは、これまでにも不特定を対象とした富裕層向け金融サービスに関連した調査結果を時々発表していますが、有意な内容とは見えませんでした。今回は高額納税者を調査対象としたので、これまでよりは有益なデータを入手できたことと思います。回答者の貯蓄・投資総額は平均して2億円弱ということです。

公開された調査内容は、プライベートバンキング(以下PB)と聞いて思い浮かべる金融機関名、利用経験の有無、今後利用する意向の有無の3点です。

知名度の高い金融機関としてはシティが46.2%と断然1位で、以下、東京三菱29.8%、三井住友21.6%、みずほ17.5%、国内証券13.9%、メリル10.7%、UFJ8.7%、国内信託8.7%、ゴールドマンサックス7.4%、地方銀行5.7%だそうです。証券・信託・地銀を一括りにする意味は判りませんが、シティ・東京三菱・三井住友が上位に来るのは納得できます。また、金融に勤める人間でも名前を知らない人がいるGSが出て来るのは面白いと思いますし、GSは一時程PB拡販に力を入れていない旨聞いていましたので、意外でもあります。

利用経験については、15%が利用中、7.7%が経験あり、54.1%が聞いたことがある、19.9%が知らないという回答でした。ということは、80%ちかくがPB経験なしで、7.7%が中止していることになります。即座に信じられない浸透率でして、質問の仕方が悪いのか、回答者がPBの定義を間違えている可能性もあります。ただ、80%はPBを知っていると応えていますので、現実を表した数字と考えてよいかもしれません。開拓余地の大きな分野と考えるのか、有料とするからにはサービス内容に更なる工夫を必要とするのかという問題でしょう。

今後の利用意向については、関心があるという回答が42.4%、どちらでもないが24.3%、関心がないという回答は29.8%でした。やはり開拓余地が大きいと考えるべきでしょう。ただ、期待する機能として、有利な資産運用や安定した資産運用が圧倒的だったそうですから、欧米流のファミリーオフィスとは中味が大きく違っていると言えます。日本では、欧米事例を模倣したPB戦略は成功しないか、普及するとしても大分遠い将来と考えるべきかもしれません。日本では、まだ個人の投資経験や技術が成熟しておらず、預け資産の規模に対する利回り優遇を期待しているのでしょうか?資産運用におけるタイムスパンが欧米に比べて極端に短いからとすれば、それは税制に起因することになります。とすれば、税金対策が最も有効なPBサービスということでしょう。

日経新聞の6月16日号に、メリルが発表した世界の億万長者人口が報道されていました。米国メリルでエコノミストとをしている友人に原本のJ&P入手を依頼したのですが、所在不明との回答でした。ですから調査方法などは全く不明です。日経記事によれば、昨年は770万人の富裕個人(百万ドル以上の金融資産を保有)が世界に存在し、前年比7.5%増だったそうです。米国に227万人、中国で23万6千人、インドで6万1千人、欧州で260万人だそうです。日本の人数は公表されていないそうですが、ほぼGDPに比例しますので、100万人強というところでしょう。一般に言われる数字とほぼ同じです。

仮に100万人として、現在の利用率15%が40%に増加するとすれば、実に25万人の金融資産が動く可能性があります。その金融資産総額は25兆円以上です。恐らく50兆円を越えるでしょう。この市場でハイタッチとハイテクを融合させて、OHRを0.5%以下のできるだけ低い率に持っていきながら、顧客に対してサービスレベルを保証できる商品・サービス戦略を展開することが必要です。まさにプロとテクノロジーの世界でしょう。金融所得一体課税導入の時期が、ターニングポイントになるかもしれません。