日経金融 13/7/11

ジャパンネット銀行のネット戦略
ジャパンネット銀行(以下JNB)が他の人気サイトと提携することで、口座数を急速に増大させているという記事である。
ネット・ビジネスにおいては、先行者のみが成功し、規模のメリットを享受できるという一人勝ちの法則が言われる。
そのために、各社ともにネット事業の初期段階は広報宣伝に注力し、ある程度の量の顧客が確保できると、次は物流・デリバリー体制への投資が要求される。結果として、利益の得られない状況が続くというのが、ネット・ビジネスの一般的パターンである。

米国銀行界では、200万件の口座確保が、ネット・バンキングの損益分岐点と言われる。しかし、ネットで可能な範囲の商品だけでは、顧客維持が難しい。結局はクリック・アンド・モルタルで新旧のチャネル併存とならざるを得ないようだ。それだと、ビジネスとしては、単に新チャネルのコストが増加しただけの結果となる。しかも、ネットだけでは、高額な宣伝投資で得た顧客も、すぐにクリック・アンド・チェンジになってしまうケースが多いという。ネットは新規顧客の開拓よりも、既存顧客との関係強化に使う方が、即効性がありそうだ。
JNBは余り広告を見かけないので、一般マス層を対象とした新聞・TV広告には積極的でないようだ。むしろ、記事にあるように、既に顧客を抱えているネットの中に、決済機能提供者として入りこむ戦略を取っていると思われる。この戦略は、全くもって正しいと考える。そもそも、ネット金融サービスを使わせたい顧客は、既にどこかのネット上にいるのだから。また、マスリテールにおける資金流というサービスは単独で存在するケースが少なく、通常は商流・物流に付随するのであるから。このような戦略をコバンザメ商法と言う人もいようが、言い方を変えれば、アフイリエーション・マーケテイングであり、極めて先進的なマーケテイング手法である。インターネットは、楽市・楽座であり、完全に近いオープンマーケットであることを忘れると、戦略を間違える。金融機関のネット戦略は、得てして排他的になる傾向がある。その意味でもJNBは正しい道を進んでいると言えよう。

もう一つ、アフイリエーション・マーケテイングの有利な特徴をあげてみる。インターネットを利用しても、自社と多数の顧客(N)を特定のサービスのみで結ぶ場合の関係は、あくまで1:Nである。それをネットワークのメンバー(N)間を自由に関係付けると、Nの二乗に比例して関係性を増加できる。更に、メンバー間の関係を、グルーピングして重層化すると、2のN乗に比例して関係性を増幅可能である。その加速度は、マスメデイアを使った宣伝効果の比ではない。
要は、こうして新規に獲得した顧客のロイヤリテイをいかに上げながら、リピート・ユースに結びつけるかにある。そのためには、商品・サービス・使い易さ・価格などの顧客価値を向上するという、ビジネスの原点を追求し続けるしかない。そして、最終的に顧客利便を実現するアグリゲーション・サービスに結びつけられれば、大成功となるだろう。