四半期決算(富士総研がシステム販売)


日経金融3月5日号の記事です。みずほグループの富士総研が、ERPを使った決算支援システムを地銀向けに販売開始したとのことです。

銀行決算においては、主計担当者が基幹システム(総勘元帳、日計表など)や関連部門および連結対象会社から必要データを集めて、決算レポートを作成します。単純な集計であれば簡単な話なのですが、複雑な補正作業が必要です。勘定科目の整合性をとったり、各種償却基準の運用によって処理方法が異なることが多いからです。補正した数値は、そのデータの主管部門(システム)に反映する必要も出ます。つまり、期末から数週間は、昼間に集計・補正して、夜間に主管部門に戻し、それを反映した新しいデータを翌日受取り、また集計・補正するという作業を繰り返すわけです。途中で経営陣や監査法人の確認が必要となることもあります。担当者が多勢であれば済む作業ではなく、また時間の制約も厳しい仕事と言えるでしょう。これまでは半年毎で良かったのですが、来年度からは四半期開示が要求されます。つまり、一年中決算作業を行なうようなものです。

みずほグループは、合併作業を進めるに際して、周辺事務を合わせて効率する必要性に迫られました。特に、決算、動不動産管理、経費管理、人事管理などは地味ではありますが、不可欠な業務です。そこで富士総研などグループIT企業が開発を進めたそうです。今回の決算支援システムは、昨年7月に開催されたSAP社のフォーラムにおいて紹介されていました。ユーザー部門とIT技術者の各々10名が集まってチームを作り、約15ヶ月で開発したそうです。基盤としてSAP社のR3を使っています。総勘元帳もR3化すると基幹システムへの影響が出てしまうので、決算処理に限定してR3のテンプレートを活用したそうです。会計処理の基本ロジックは、パラメーターを切るだけですので、2週間もあれば開発できるそうです。

しかし、勘定系からデータを抽出、はきだし、入力、変換するためのインタフェースを開発する作業が大変だったようです。加えて大手銀行では数百のサブシステムがあります。それらからデータを集めるのですから、仕組がなければ、気の遠くなるようなデータ収集作業が必要です。いつものことですが、データ授受のインタフェースがアプリ開発のネックだったようです。規模の小さな銀行であれば、無理してダイレクトに繋がないで、CSVなどで授受する方が数段容易なのですが、さすがに超大規模銀行となるとダイレクト接続せざるをえないのでしょう。これからのシステム化においては、ODBCやCSVなどでデータ交換できる仕組が不可欠です。無理してEAI化を図っても、費用と労力を無駄にすることが多いようです。

エンドユーザーである主計担当者は、データを自分のPC上のAccessに蓄積して、Excelで集計することが一般的です。この作業もデータ量が大きくなるとレスポンスが遅すぎて、忍耐の限度を超えてしまいます。苛苛がつのって、エンターを押しまくります。結果的にPCがフリーズして作業中のデータを壊してしまったという気の毒な経験をよく聞きます。

富士総研では、当該システムを使うことで決算事務負担を20〜30%軽減できると言っているようですが、担当者の実感としては数倍の効率アップではないでしょうか。(最近のITは、性能が向上しているにも関わらずディスクI/Oがネックとなっており、結果として専門家の頭脳稼働率を数%で留めています。)それ以上にあり難いのは、決算の精度も上がるでしょうし、何よりも発表期限に対して時間的余裕を得られることが大切でしょう。昨今では、何人月分の作業が減るというIT採算基準ではなく、専門家頭脳のユーティライゼーションを何%上がるとか、作業完了時間を早めるとかの効果で判定すべき業務が増えています。

富士総研はカストマイズをしなければ、3千万円、3・4ヶ月程度で導入可能としています。地域金融機関としては、データ収集のインタフェースを徒らに自動化しなければ、簡便に導入できるでしょう。また、現在Excelなどの表計算ソフトで集計しているのであれば、最近注目されている高速DBエンジンと表計算ソフトを使って、データはExcelファイルかCSVで授受するようにすれば、主計担当者の待ち時間を一掃することも出来るでしょう。数百万円で済みますし、自分で機能修正できます。