リレバン(百十四銀行のビジネスマッチング)


日経金融2月18日号の記事です。百十四銀行が9月からインターネット上で、有料の商談仲介サービス「商談スクェア」を開始予定とのことです。会費は年間3万円で、顧客企業が自社の技術や製品などを専用サイトに掲示して、関心をもった他社とネット上で照会等の商談ができるそうです。東京三菱の「ビジネススクェア」と連携することで、東京三菱、静岡、常陽、足利、百五、北海道など6行の会員が参加できますので、百十四の地元である香川県や岡山県以外の会員との商談も可能です。また、商談だけでなく、会員別の経営相談や産業調査データも提供する予定とのことです。初年度に500社を予定していますが、東京三菱などの会員を合わせると3万社程度のビジネスポータルとなります。

ビジネスマッチングは、リレバンの目玉サービスとなりつつあります。地銀協の調査では、昨年9月末で、64行中57行が何らかの仕組みを実施中で、残り7行の内、5行が下半期中に実施予定だということです。上半期だけで、2472件のビジネスマッチング成約があったとも報告されています。具体的な施策としては、ビジネスマッチング情報提供の仕組み作り、イントラネット活用等行内体制の整備、経営情報提供の仕組み、ビジネスポータルサイトの提供、商談会の開催などです。

筆者もビジネスマッチングは、金融機関に期待される機能であり、また、有望な収益機会(直接よりも間接的に)になるだろうと考えています。とはいえ、こうしたビジネスポータルや情報共有の仕組みを作っただけでは、実効性は皆無とも思っています。2472件の成約があったとのことですが、どういう条件を満たせば銀行が仲介して成約となったと言えるのか、甚だ怪しい話ではあるまいかと思っています。単に、金融庁向けの数字だとしたら、それこそ役人の得意技である数字合わせで終わってしまいます。

先日、地銀のCIOが参加する会合に同席しました。大半の方がリレバンとITは関係ないと思っていたのには驚きました。リレバンは事業再生のことだと思っていたという方も多かったのです。最も驚いたのは、強化計画を作成する段階で、IT部門が参画した銀行が一行も無かったということです。総合企画部が、営業を中心とした一部の部門と作成してしまったそうです。自行が金融庁に提示した強化計画を見たというCIOもいませんでした。経営トップ、企画部門のITに関する認識の低さには愕然とするものがあります。その意味で、百十四銀行などのようにITを活用する姿勢をもつ銀行は稀少だとも言えるでしょう。

実際に成約に至るビジネスマッチングは、ネット上よりも実際に顔を合わせる商談会や地域のビジネスサークルでのケースが多いようです。つまりサイバーよりもリアルの世界が重要だということです。ビジネスマッチングの本家である商社の場合は、銀行並みの業種横断の取引関係を活かしているだけではありません。特定分野(技術や製品など)に精通した担当者が、多くの関連企業との付き合い(情報と信頼関係)を前提として、最新の動向情報や独創性を駆使してビジネスしています。銀行も専担者を置いたり、業種別担当制を敷いたりし始めましたが、学習効果が出るにはまだ時間がかかるでしょう。

弊社も当サイト上で、開発受託のビジネスマッチングを行なっています。友好関係にある金融機関やITベンダーから受託会社募集の依頼を受けて、サイトに掲示するだけですが。ところが、極めて多くの企業から応募の申込みがきます。それも面談の上で説明したいと言います。弊社としては中小開発会社の営業支援になればという軽い気持ちなのですが、照会や引合いの仲介だけで、大変な手間暇となります。とても無料のボランテイァで対応できる労力ではありません。では成功報酬制などの有料化を図ればどうかということになります。ところがネットや電話だけの情報で成約するケースは皆無です。弊社が、既に取引実績のある募集企業と応募企業を仲介する場合は、殆どが成約するのですが。ここにビジネスマッチングのポイントがあると思います。ネットは、あくまでも情報交流の第一歩であり、それからはリアル・ビジネスで進める他ないでしょう。逆に言えば、リアルの関係がなく、サイバー上のマッチングだけでは効率が悪すぎるということです。銀行は成約率を高める仕組みを作り出す必要があります。ビジネスポータルの数値目標は参加社数よりも成約率が大切です。さもないと、中小企業にとっては照会や引合いだけを多く受けて、単に本業を邪魔するサービスに終わってしまいます。