オープン系次期システム(IYバンクがユニシスに置換え)


日経コンピュータ1月12日号に、IYバンクが日立汎用機による勘定系ホストをユニシスのWinベース・システムに置換え予定だとのニュースが掲載されていました。2人の他マスコミ記者から確認の問い合せを受けましたが、私は、直接的な情報を持ち合わせませんでした。記者達の、その後の取材結果を聞きますと、どうも事実のようです。IYバンクは認めていませんが。

1月29日付けの日経BPサイト「ITPro」に同ニュースが掲載されていますので、担当記者は事実関係に自信を深めたのでしょう。ニュースソースがユニシスならば、事実と見て良いでしょう。日立ならば、リークすることで劣勢を挽回しようとする意図なのでしょう。いずれにせよ、2001年5月開業(テスト機導入はその1年以上前となります。)のシステムを、3年後には大幅な変更を検討せざるをえない状況だということです。当初から、IT投資が計画を大巾に上回って経営陣が困惑している話は聞いておりました。

http://itpro.nikkeibp.co.jp/members/NC/ITARTICLE/20040122/1/

この記事の論調は、今期は黒字転換予定ではあるが、200億円の累積赤字を解消するためには、IT投資抑制しかなく、しかもATM投資は抑えられない。そこで30億円程度の投資で2005年秋頃までに、ユニシスのES7000WindowsDatacenterServerで勘定系を再構築する予定だということです。日立がIYバンクに出資していながらの置換えなので、日立の対応の拙さとIYのドライさも指摘しています。

Winベースで構築する技術面に関しては、普通銀行業務オンラインに比べて単純なシステム(ATM管理と普通預金入出金が中心)ですので、百五銀行システムを構築できるとすれば、問題はないことになります。結果が出て、成功させた秘訣を聞くのが楽しみです。それにしても、最近のユニシス社の金融における受注活動の積極性には目を見張るものがあります。要員の質量確保と採算性に関する施策を知りたいものです。何か特別な秘策があるのでしょう。

IT経費削減が目的だとすれば、新システムへのリプレースは合点がいきません。日立MP5600の償却はかなり進んでいる筈なので、経費としては保守が大半となるはずだからです。むしろ現行ホストへの追加投資よりも、置き換えた方が安いというのが本当の所でしょう。いずれにせよ現在よりも経費は増加することになります。この数字のマジックは、地銀の共同化などでも良く使われる手法です。ある地銀の共同化発表記事で20%のコスト削減が大きな見だしとなりました。焦ったIT部門が広報部に問い合せますと、「記者が余りにしつこく削減率を聞くので、他行の記事を思い出して言ってしまった」という返事に唖然としたそうです。後日談として、IT部門長がくだんの他行CIOに20%削減根拠を質問したところ、「何も積算なんかしてない」という回答で愕然とした笑えない本当の話があります。分母の定義もないのでした。

一般論として、経営が我慢できないのは、歯止めのない経費の増加です。何らかの理由をつけては、追加投資稟議が出てきます。都度、「これで最後だな?」と確認するのですが、担当部門は前提つきで「Yes」と答え、ほとぼりの冷めないうちに、別理由をつけて金をせびりに来ることがあります。それが続きますと、経営はIT部門を信じなくなるばかりか、その裏にいるベンダーに憎悪すら抱くことがあります。お互いの理解不足とIT計画管理の杜撰さが原因です。今回30億円の開発費だとして、IYバンクは請負契約にすべきでしょう。コスト超過リスクは全てベンダー負担ですから。

ITベンダーがユーザー企業に資本参加する目的は3つに分類できます。

第一は、パートナーシップを強固にすること。(共通の目的に協業する)

第二は、受注可能性を高めること。(株主として発言力を確保する)

第三は、実質値引き。

特に、新設企業ユーザーの場合は、値引き手段として使われることが多いようです。50億円の受注額で5億円の値引き予定を出資に変えれば、ユーザーにとってPLは悪化しますが、BSは動産と資本が同額増えるだけです。キャッシュフローは楽になります。ベンダーにとっては、PLは改善しますが、キャッシュフローは悪化します。BSでは現金が株式に変わるだけです。もっとも累積赤字がたまった状況で資産価値評価すれば、相当な含み損を発生させます。後年の財務にボディブローとして効いてきます。余りに日本的なビジネス慣行は止めたほうが良いでしょう。

ところで、廃棄が決定されたマシンは、情緒不安定になることがあります。同じベンダー機器間の置換えでも良くある話です。情緒不安定とは、ハード障害です。最近、余りに遠い将来の機器変更を発表する傾向があります。そんな先でも、その機械やOSはまだ残っているのか?と思うことがあります。同時に現行機器がヘソ曲げたら、置換え時点までに何回ダウンするのかとも心配になります。解決策は「神主によるお祓いしかない」というのがベテランのハード技術者共通意見です。