システム統合(みずほ銀行新計画)

 

ニッキン9月5日号が、みずほのシステム統合計画最新案を報道しています。今年の10月にはシステムテストを開始し、来年の1月から6月にかけて運用テストを実施、7月から9月に店群移行を試行、10月から店群別に移行する予定だそうです。

勘定系は旧DKBのSTEPS,情報系(融資稟議を含む)は旧富士のシステムを利用します。営業店端末は、旧DKBの富士通製と旧富士の沖電気製を併用する予定です。

日経コンピュータ9月8日号も、同行の計画を詳細に報じています。みずほ銀行は、行内の正式承認を受けて、8月末から個別メディアの取材に応じるようになりました。

同行は、これまでに2800億円をシステム統合に投資して、多くの周辺システムの統合を果たしたとしています。残された勘定系、情報系、EB系の統合は来年一杯を目処に、1000億円の費用で完了させるそうです。昨年4月の障害騒動の際に前田社長は、統合費用として2500億円を既に費やしたと説明していました。その後の一年半で300億円しか使っていないというのは不自然ではありますが、いずれにせよ4000億円もの資金が統合に使われることを認めています。

今回の計画で注目すべきは、店群別の移行を採用したことです。ニッキン記事によれば、広報部が10〜20店単位での移行と説明したようですが、日経コンピュータに説明したみずほFGの担当部門は、30〜60店毎の6回(事前に試行を2回)で移行するとしています。FG担当部門の説明が正しいでしょう。グループ内部での情報共有には、未だ課題が残っているようです。移行完了時期は、同行資料に明示されていませんが、来年末までには完了させたいようです。店群移行というオーソドックックスな移行方法に変更したのは、懸命な策だと考えます。旧DKBは、もともと店舗統廃合が多かったためか、店舗移管を支援するシステム機能が充実しているそうです。事前の機能確認とテストを忠実に実施して、漏れのない移行計画とリハーサルを行なえば、今回は大きな問題となることはないでしょう。些細なトラブルが起きるであろうことは当り前ですので、マスコミには他人の不幸を心待ちにするような報道姿勢を慎んで欲しいものです。

それにしても、新計画にある存続システム構成は、苦労の跡が見えると言うか、勿体無いという感じがします。8月27日付け当コラムで、勘定系を二分して、預為がSTEPS、貸外がTOPという噂があると申し上げました。新計画では、勘定系は全面的にSTEPSということですが、そうすると情報系との連動、データ整合性を確保するために、相当な変更作業が必要です。加えて、端末機に旧富士系の沖端末も使うとなると、勘定系アプリとの整合性・機能分担の修正も大作業となるでしょう。一口に4000億円と言いましても、地銀64行全てが、次期システムを個別に開発できる金額です。それも、かなり新規業務やサービス機能を付加しての話です。

移行を完了する再来年以降は、信託銀行やコーポレート(通称CB)のIT戦略に注力するとしています。旧安田信託の勘定系も、稼動して20年近くなりますが、現在そのシステムにグループ信託機能を統合しています。CBも旧興銀のシステムですので、大規模商業銀行が使うには余りに機能不足で、現在は人海戦術を展開中とも聞いております。両分野ともに、次期システム開発が喫緊の課題でしょう。考えるだけでも恐ろしいまでに、巨額のIT投資が避けられません。戦略的IT投資余力を確保するという名目で発足した日本最大の銀行グループが、そのITによって巨額の資金、5年以上の歳月、10万人月単位の人材を空費するとは、誰も想像しなかったことです。そもそもが、規模を追求するという時代錯誤の経営戦略に全ての原因があると思います。ここ数年、行政主導で決定された合併が、ただ一つとして成功の兆しさえ見えないことに留意すべきです。

金融庁は、合併による規模拡大が銀行健全化の唯一の手段と未だに盲信しているようです。官僚でもなく、役人でもない経営のプロに金融行政を担ってもらいたいものです。銀行を変革させるために、外人頭取を求める声が多いのですが、私は、金融庁長官に海外銀行経営者を招聘すべきだと思います。