電子手形(信金中金)


日経新聞8月18日号の記事です。信金中金が、電子手形の実用化を計画中ということです。今春、全銀協のチェック・トランケーションが検討中止になったので、信金業界単独で導入するのかと思いましたが、全く別のサービスでした。

チェックトランケーションは、電子手形交換所を新たに設置して、手形小切手はMICRやイメージ処理によって移動をなくし、交換尻を自動的に算出して日銀当座勘定で決済するという考えでした。要は、銀行が交換所へ手形を持ち出し、持ち帰りする手間を省くことが目的です。顧客の利点は、資金化日数短縮程度で、基本的には銀行都合のシステム化です。費用は銀行負担ですから、それでも構わないのですが。

信金中金の構想では、電子手形センターを設立し、信金の取引先は、手形の発行や受取をセンターとのネットワークにより実行します。受取側は、ネットを通じて分割や割引などの取引も可能にするとのことです。この結果、取引先は、手形発行手数料や印紙税などの節約が可能となり、期日管理、資金管理が容易になります。チェック・トランケーションとは全く異なるサービスです。これに信金が支払い保証をつけたらエスクロー・サービスになります。プールして、売掛債権の流動化も可能になるでしょう。信金中金では、業態内にクローズせずに、普通銀行にも開放予定だとのことです。随分と久し振りに信金界から、高く評価できるサービスが出てきたなという印象です。

普通銀行、特に地方銀行や第二地銀には、是非とも参加してもらいたいものです。場合によっては、チェック・トランケーションを組み込んでも良いでしょう。

もっとも、全銀協の構想が流れたのは、地方交換所の反対が原因とも聞いていますので、まずは、信金中金の構想を実現することが先でしょうが。

信金中金は、特定認証業務認定を受けているので、取引先の認証業務を実行できるそうです。記事解説によれば、電子手形に係わる紛争処理に判例がない、新たな法改正が必要、情報漏洩の危険性があるなどを指摘しています。現物に馴染んだ信金や取引先で、電子手形に二の足を踏むところが出るだろうとも言っています。何事にも、新しいことに悲観的消極的な人達はいますし、逆に、何でも新しければ良いという人もいます。確かに失敗する可能性もあるでしょう。しかし、今回の構想は社会の流れ、金融サービスの方向性、技術的実現性等を考えても、誰も損をしない構想です。信金中金には、失敗を恐れず推進して欲しいものです。(失敗可能性は事前に予想して、可能な限りの手当てをすべきではありますが。)全信用金庫の同意を取る必要などありません。新しいアイデアやツールを活用できる金庫、取引先が導入すれば良いだけのことです。

この構想の法制度に係わる諸条件はクリアできるでしょう。技術的にも問題はないでしょう。要は、利用者がつくか否かの問題です。信金同士の手形決済取引がどの位あるかが気になります。やはり、地銀や第二地銀の参画が不可欠でしょう。普通銀行が、信金主導の構想に嫉妬せずに、協業して推進したら面白いことが出来ると思います。判断基準は、顧客メリットです。