電子マネー (郵貯カードにエディ採用)


日経新聞8月4日号の記事です。郵貯はエディを使えるキャッシュカードを発行するということです。入会金・年会費は不要で、電子マネー機能とクレジット機能を持った総合カードによって、初年度10万枚の発行を目指すそうです。

翌5日の日経には、電子マネー特集記事が掲載され、エディ、モンデックス、ビザキャッシュの三つの電子マネーを紹介し、エディが普及の規模・速度に優っている。その理由は、非接触型読み取りによる使い易さと、発行主体であるビットワレットによる加盟店に対するマーケテイング力をあげています。

電子マネーには、カード型、ネットワーク型、プリペイド型の三種類があります。それぞれに特色があり、使い分けることになるのでしょうが、私はネットワーク型が主流になると考えていました。理由はセキュリテイと取扱い可能上限金額です。プリペイド型は、商品券扱いによる規制があり、使用目的・金額なども限定的であるため、デパートや公共交通機関などでの使用となり、小銭扱いのなさや料金割引だけが利用者メリットだと考えています。カード型に関して、私は、最も普及可能性がないと考えていました。高額な取引には使えませんし、他カードとの提携を拡大すれば紛失時の危険も高まります。普及までには、相当な時間が必要だろうと思っていたのです。

それが(以前にも当コラムで申し上げましたが)スイカの登場で、すっかり条件が変わってしまいました。ソニーの非接触型フェリカが、それを実現したのです。香港でICカードが普及しており、それが日本製とは聞いていましたが、非接触型とは知りませんでした。3年ほど前でしたが、香港の人々がスイスイと地下鉄ゲートを通り抜けていくのを見て、どうなっているのかと怪訝に思ったものです。当時、私は、工業技術院が毎年行なう先端技術普及予測調査のモニターをさせられており、無線チップのことは聞いておりましたが、それがカードに組み込まれるとは想像できませんでした。

日本でもコンビニで採用されました。キャンペーンが行なわれ、面白半分に買ってはみました。ICカードのプリペイド型というタイプでしょうか。毎日使うわけでもなく、コンビニは多くの種類があります。使い分けて、残高管理するのも面倒なので、結局は現金の方が便利でした。次に、スイカが出てきました。差し込む必要のある磁気カード式と比べて、かざすだけという謳い文句に余り魅力は感じません。ポケットから取り出す手間は同じですから。といって、ETCのようにポケットの中の財布に入った定期券を勝手に読み取られるのも不愉快です。磁気カード派の私は、未だに磁気カード式定期券とイオ・カードを組み合わせて使っています。ところが、最近、知人がスイカ定期券を紛失したので最寄の駅にいきましたら、その場で紛失カードの無効化処理をして、翌日には新しいカードを再発行してくれたそうです。ICの機能を活用しています。

ICに蓄積したポイントを他の提携先でも支払い手段や優遇ポイントとして使えるケースが増えています。一種の通貨機能です。信用創造はありませんが、財貨交換手段として、価値評価手段としての機能はあります。金融政策・通貨政策との整合性などという、古い議論を蒸し返す気持ちは全くありませんが、カード内のデータを使った合従連衡が始まっています。金融機関はキャッシュカードやクレジットカードとの連携をするだけで良いのでしょうか?ICカード対応のATMには、膨大な投資が必要です。しかし、その恩恵を得る施策は考えているのでしょうか?一般事業会社はネットワークとカードを通じて連携を進め、顧客基盤を固めようとしています。決して一枚のカードに集約されることはありません。結局、金融機関は全ての提携グループに対応すべく、振り回されることになります。東京都営銀行の設立構想では、ICカード対応が目玉の一つです。支店も新規設置が予定され、新型ATMを開発する計画があるようです。とても採算の取れる話ではありませんが、それが顧客ニーズの標準になる可能性があります。

20年ほど前に、銀行界はICカード研究の先頭を走っていました。ただ、安全性や電子マネーの法的位置付けという制度論、そして業界中心の標準化案などで、ICカードブームは消え去ってしまいました。利用者側視点が絶対的に不足していたのです。それが、私と同じようにICカードへの消極的先入観となり、今日、世間の変化に連携できない状態になってしまったようです。