ネット証券 (取引口座数が270万)


日経金融7月30日号の記事です。上場証券16社が発表した今年4−6月期業績から集計したネット取引口座数が、270万口座に達したとのことです。(ネット専業証券の口座数は含まず)

一年前に比べて33%、154万口座増えたことになるそうです。この背景には、小口取引をネットに誘導して、営業担当者は富裕個人に張り付ける戦略があるとしています。一方で、いちよし証券や日本グローバル証券のように、ネット取引から撤退する動きもあり、システム投資負担余力によって戦略が分かれつつあるとしています。

金融界では、二八の理論というより、三割の顧客で九割の利益というのが常識とされています。証券界では、3%の顧客で60%の収益とも言われます。この場合の収益は営業収益でして、裏返すと経常収支率80%という好条件下でも、97%の営業費用で40%の営業収益ですから、この層は儲かっていなかったことが明らかです。この層を、手数料値引きと利便性を誘引としてネット取引にシフトし、受渡しや決済を自動化できれば、マス層も採算が取れるようになるでしょう。例えば、ネット取引用システムと事務コストを年間50億円かけるとして、1顧客から年間3万円の手数料収入を得るならば、17万口座確保すれば、コストモデルは成立することになります。今年3月末で、20万口座以上のネット取引顧客を持つ証券会社は6社あります。恐らく、口座数上位10社とそれ以外の証券会社でネット取引の規模戦略は二極化するでしょう。

必要口座数を確保できない証券会社は、対面営業や電話営業の補完としてネット取引を位置付けることになりますので、アウトソーシングを使うでしょう。または、松井証券などのように、ネット取引に信用取引や貸株取引などを付加して、そちらから高収益を期待することになります。

米国では、ネット証券は上位3社の寡占化が進んでおり、ダントツであったシュワブも、顧客数・取引件数の増加率よりも市況の変動を受ける段階にまで、規模拡大が飽和しつつあるようです。装置産業型の薄利多売戦略においては、コスト増を上回るスピードで業容を拡大することが大前提です。日本でのネット証券市場規模を幾らに予測して、その何%をどのような戦略で抑えれば、コストと収益のバランスを実現できるかが基本命題となります。IT投資だけでは自殺行為です。

ちなみに、金融ビジネス9月号が、証券会社別ネット口座数の調査結果を掲載していました。こちらは、ネット専業証券の口座も合わせてですので、合計は約360万口座でした。以下に口座数上位10社の2003年3月末ネット口座数と(2002年3月末ネット口座数)を参照しておきます。単位は千件です。

   野村証券    1141(936)  大和證券 639(476)  日興コーデ 462(398)

   イートレード   253(198)  マネックス 215(194)  新光     202(146)

   DLJデイレ   139(123)   カブドット 110(87)  松井 92(74) 日興ビーン90(81)