法人向けネットバンキング (東京三菱・利用社数が2万件)


昨年10月に開始した同行のBizSTATIONは、利用法人数が3月末には2万件に達するということです。ニッキン3月28日号の記事です。

昨年11月の当コラムでもご紹介しましたが、BizSTATIONは、昨年10月15日にサービスを開始しました。それから5ヶ月半で2万社ですから大変な勢いです。当時は、16万社のFBユーザーの内、10万社を当サービスのユーザーにすることを目標としていました。目標の4倍のペースで普及しており、今年9月末には4万社を超える見込みだそうです。

同行の担当部門は、ネットで顧客を囲い込もうなどという狭い考えではないようです。顧客に便利なものを安く提供すれば使ってもらえ、そのことが銀行全体の競争力を増すとともに、コスト削減に繋がるというコンセプトだそうです。いかにも当り前のことなのですが、これまでの銀行に欠けていた考え方です。IT事業部に、ネット戦略に関する営業とITの両機能を併せ持たせていることが効果を上げているのでしょう。「これで何件の新規顧客がとれるのか?」「手数料収入はいくら増えるのか?」などと下らない質問を受けずに済むでしょうし、ITの価値や限界もわかるのでしょう。

セールスポイントとして、セキュリテイやワークフロー機能などを上げていますが、何といっても振込操作の簡便さや手数料の安さが評価されているのでしょう。前回のコメントでは、他社に簡単に追随されそうもないが、今後の課題としてはマルチバンク・サービスを指摘しました。同行は、既に個人向けネットバンキングでアグリゲーション・サービスを発表しました。恐らく、この経験と実績を使って、法人向けにも展開してくるでしょう。BizSTATIONでは、Webサービスを使った輸出信用状の電送サービスを試行しています。XMLを使った顧客企業とのデータ電送のキーポイントを把握することになるでしょう。

早い時期に給振・総振のデータ電送サービスや外為送金などを提供予定だそうです。記事では、マルチペイメントについては触れていませんが、これは主要な銀行の殆どがサービス提供を予定しています。特徴のあるサービスとして、既に提供している融資勧誘・申込み受付を拡大して、審査・契約まで計画しています。審査・契約の処理は基幹系に転送するのか、Javaか何かでWebサーバで処理するのか判りません。後者であれば面白いと思います。融資業務のWebサービス化が容易になるからです。他社の商品・サービスと連携したり、他の銀行やノンバンクと協調して融資できるからです。場合によっては、資金に余裕のある個人や企業が参加するかもしれません。融資先から預かる各種の書類も電子的に受信しやすくなるでしょう。融資STP化の可能性が見えてきます。

これからの金融サービスは証券化が進むことは間違いありません。融資も証券化していきます。従来の顧客と融資担当者の相対ビジネスに加えて、ネットを通じた市場化が始まるでしょう。例えば、資金需要者が逆オークションしたり、銀行が一定の融資条件を提示して電子入札したりもするでしょう。証券化のメリットと融資のメリットの双方を追求していくことになります。その場合の銀行のコア・コンピテンシーは与信ノウハウや信用情報であり、マーケットメークとなります。共に、先行者メリットと規模のメリットが生きるコンピテンシーです。これをネットに乗せることで範囲のメリットを追求することになるでしょう。

わが国の銀行融資総額は先進国の中でもずば抜けて高いことは周知です。長期的には40%減程度が見込まれています。しかし、日本には米国と異なる証券化があって良いと思います。つまり、間接金融と直接金融の中間である第三分野です。ネット上のオープン市場で、いろいろなアイデアが出てくるのを期待しましょう。