◇ 地方銀行の勝ち残り戦略とITの課題 ◇


このレポートは、金融財政事情2005年4月4日号への寄稿を加筆したものです。

地方銀行を始めとする金融業界のベテランと日立、NTTコムウェア、IBMなど大手IT企業の金融業界専門家など10名による共同研究の概要を紹介します。



共同研究を行なった契機は、地方銀行における構造改革の進展度合に関する懸念でした。今後の経営環境の変化を考えれば、根本的な経営戦略見なおしと確実な実行が不可避であることが明白なのですが、具体的方向性や施策が不明確な場合や実行性に対する疑問もありました。ITに関しては、戦略的活用がなされていないという行政当局の指摘がありますが、戦略的IT活用とは何か?阻害しているのは何か?これからは、どうあるべきか?という課題も議論したいと考えました。

各地方銀行の実状を知るに従って、画一的な戦略や実行計画がありえないことが再確認されました。しかし、地方銀行の歴史において最大規模の変化が迫っていること、組織文化を始めとした人的要素が変化対応の阻害要因となっていることは共通です。外部から新しい経営者を招聘すべきとの案も出ましたが、地域社会・地域経済・顧客と一体化している地方銀行においては、経営者の交替で問題が解決できるとも考えられません。経営危機に直面すれば、過去のしがらみを捨てられるという意見もありますが、それでは余りに無責任となります。

結論として、長期的にはサービス産業化が地方銀行の存続・発展の道であること、その為には組織的な変革と提携戦略を含めた新しい営業戦略展開による選択と集中の徹底が必要ということです。決して新奇性のある考えではありませんが、実行可能性を考慮しつつ出来るだけ具体的な議論に努めました。

以下のレポートは、公表用にとりまとめたもので、あくまで参加者の一員である筆者の考えを述べております。研究会参加者は、各々の考えを成果物に付加して今後の銀行経営やITビジネスに反映していくことになります。


地方銀行を取り巻く経営環境の変化は、銀行業のパラダイム・シフトを要求しているようである。行政当局が昨年末に公表した金融改革プログラムにもあるように、従来の時間をかける構造改革から、「貯蓄から投資へ」と「金融サービス立国」を目標として、根本的かつ急速な産業構造改革へと行政の軸足も移りつつある。

収益性と健全性を確保することを前提として、攻めの経営が求められている。リストラによる経費削減、手数料ビジネス強化、中小企業向けあるいは個人向け融資の強化などが主要な経営戦略とされ、数値目標を掲げた努力が続けられている。しかしながら、単純な市場原理だけでは地方銀行としての存在意義を放棄しかねない制約もある。その為か、期待されるほどには企業改革が進んでいない。このままでは、地方銀行の存続・発展が大きく阻害される可能性を否定できない。

地方銀行の実状に沿った戦略的方向性と具体的施策を探るべく、また、金融改革プログラムが求める「個性的な計画策定」と「選択と集中」を通じて、大競争を勝ち抜くための戦略を考えるべく、我々は「地方銀行の勝ち残り戦略」を考える研究会を開催した。以下は、討議と結論の概要である。

1.期限付きの構造変革を求める経営環境変化

平成17年3月から平成19年3月までの25ヵ月の間に予定されている大きな制度変更や環境変化は56項目に渡る。この中には、偽造カード防止対策としてのICカード化のような一過性の変化要因は含んでいない。それほど大きな変化要因が目白押しということである。このように変化の激しい時期には、経営の柔軟性に加えて、大きな経営理念と組織全体で共有された具体的な事業目標が不可欠である。また、銀行の存続・発展に極めて大きな影響を与える変化要因に的を絞った経営戦略が重要となる。

我々は、多くの変化要因の中から「金融改革プログラム」「メガバンク再編によるコングロマリット化」「郵便貯金の分社・民営化」を3大変化要因として抽出した。実際の銀行戦略においては、こうした制度改正よりも高齢化やマネーフローの変化などマクロ・トレンドが重要ではある。(図1)例えば、「銀行による貸出総額が他先進国なみの水準になるとすれば、政府系を含めた貸出規模は30%以上減少する。」とか「団塊世代700万人が60歳定年を迎える平成19年からは退職金市場が毎年20兆円以上となる。」などがある。こうしたトレンドは、金融ビジネスのアンバンドル化や業界構造の水平化などの動きを加速する。抽出した3大変化要因は、これらマクロ・トレンドが顕在化したものであり、時間軸が明確な変化である為、具体的影響や対応策を議論し易いと考えた。

1)金融改革プログラム

プログラムの概要は当局発表資料を参照願いたいが、地方銀行の根本的事業構造改革を求めるものとなろう。金融機関の収益性と健全性を高めるのが狙いであるが、その際、各金融機関には「収益性や健全性を示す財務指標や外部格付けが一段と向上する」ことが求められている。公表された工程表では、一律の数値目標の義務づけはなされなかったが、各地方銀行は、妥当な数値目標の設定と確実な実現を求められる。例えば、業純ROAで1%台、OHR50%前後、Tier1自己資本比率で8%以上、不良債権比率4%台というような数値目標となるだろう。定性的経営から定量的経営への変革が必要となる。

2)メガバンクの再編とコングロマリット化

コングロマリット化への賛否や促進主体を問う意見もあるが、実体として既にコングロマリット化が進んでしまっていると我々は認識した。都銀が11行存在した10年前に、最大規模銀行の預金シェアは全国の3.3 %であったが、3大メガバンク体制となると、最上位銀行は9.2%の預金シェアを握ることになる。当然ながら市場ガバナンスは根本から変わる。場合によっては決済システムや協調融資などで、従来の業態別からメガバンク・グループ別に再編される可能性すらある。地方銀行が、こうした再編の枠外に位置し続けることが可能とは考え難い。自主独立の経営路線を堅持するとしても程度の問題となろう。これまで以上に地域経済における存在感を高めておかなくてはならない。

3)郵便貯金の民営化

平成19年に分社化し、10年以内の民営化が政府方針である。ただ、そのコンピテンシーや経営品質を客観的・定量的に見る限り、民営化への道は容易でない。8万人を超える職員が民間の市場に出てきて、45万の民間行職員とともに生活の糧を得られるだけの市場規模はあるまい。郵貯はコンビニや介護関連、旅行代理業等許される業務を全て展開する上に、ノンバンクとの提携による消費者ローン参入、更にはメガバンクと組んで全金融サービスを展開することが容易に想像される。地方銀行にとっては直接的な競争脅威よりも、下位業態が経営的影響を受けることによって、地域金融すみわけ秩序が崩壊することの方が危険かもしれない。また、年率4%以上で貯金総額を減少させる計画であるが、その受け皿となるだけでも運用負担が重くのしかかる。超低金利下といえども、数億円単位の預金利子コスト増加となる。招かざる預金の増加は単なる不良在庫の増大という側面が強い。

2.収益構造の抜本的変換が不可避

今日では、店舗数に応じた預金量が銀行経営の要と考える銀行員はいないだろう。サービス収入の重要性が叫ばれている。しかしながら、組織運営が変化に対応できていない。例えば40万世帯ある県域で、地方銀行が50%の世帯取引シェアを持ち、世帯当り月額3千円の口座管理料などの手数料を受領すれば、年間72億円の手数料収入となる。新聞購読料などと比較しても違和感のない金額である。銀行は、無料サービスに安住しすぎているのかもしれない。優良顧客の負担の下で大多数の不採算顧客との摩擦を避けてきたと言えなくもない。しかし、これからは新規参入者のクリームスキミングの餌食になる危険性が大きい。

一方で、業務純益の定義に問題ありといえども、業純ROA1%を確保しなくては独立銀行としての存続は難しい状況になりつつある。業務収益増強策としては、フィー・ビジネス、中小企業向け融資、個人向けローン、スプレッド拡大、有価証券等特定資産運用力強化がある。業務費用削減策としては、与信コスト削減、人件費削減、物件費削減、資金調達コスト削減等が代表的である。

我々は、フィー・ビジネスや個人ローン収益増強に成功している地銀4行をベンチマーク・データとし、資産規模や地域・経営特性を考慮して抽出した複数銀行の平成16年3月期財務データを使って業務純益増強策の実現可能性を評価してみた。その結果、預金量と経費額には充分に有意な相関があるが、預金量とROA,OHRには有為な相関は見出せなかった。そこで、OHR50%を経費削減のみで実現できるか試算してみた。サンプル銀行の中には実現のために60%の営業店(及び営業店行員)を削減する必要のあるケースも見られた。また、OHR50%を達成するだけで、ROA1%を実現できる銀行は1行のみであった。つまり、経費削減は必要条件ではあるが、十分条件たりえないということである。

個人ローンに関しては、県内総生産、県民所得、法人数、世帯数などとの相関を調べた上で獲得可能融資規模を試算した結果、半数の銀行では域内に未開拓市場があるものの、残り半数は既に飽和状態となっていることが判明した。こうした銀行は、近隣他地域への進出を図らざるをえず、今後は地方銀行同士の競合が強まる地域があることも想定される。

一方、フィー・ビジネスに関しては、全行ともに未開拓余地が充分にあり、10〜60億円程度の収益増加余地があることが判った。更なる市場開拓努力を行えば、一段と大きな収益増強が期待できることは確かである。

サンプル銀行の中には、前述した全ての収益増強策を実現してもROA1%を実現できない銀行がいくつかあった。資産を減少させるか、業界水準を数段上回る収益率を実現するしかないことになる。短期的には、資産規模の最適化を図らざるをえないだろう。

収益増強のための財務的試算もさることながら、我々の討議で焦点となったことは、地方銀行員に、こうしたパラダイム・シフトに対応できる心構えと価値観の変革が出来るかということであった。法人取引担当者優位、中小企業融資や個人向け無担保融資軽視、顧客への有料化折衝回避など、事業会社とは全く異なる価値観や既成概念を取り払わなければ収益増強策は机上の空論で終わる。問題解決力と実行力が必要というのが共通の認識である。

3.勝ち残り戦略の選択肢は4パターン

議論を通じて再確認したことは地方銀行の一行一行が、その営業地盤特性、歴史的経緯、親密他行との関係、経営トップの経歴などで全く異なる特質を持っていることである。特に競争戦略を考える上で重要な地域経済特性や主たる競合相手を組み合せると千差万別となる。一律的な戦略論の無意味なことが再確認できる。とはいえ、外部から見た視点で平均的地方銀行のSWOT分析を行ってみたところ、抽出される概念的な戦略選択肢には違和感のないものが出てきたと言える。ここで留意すべき点は主たる競合相手である。これまでは、郵便貯金や第二地銀、信用金庫などを競合先として考えてきたが、これからはメガバンク(含む、緊密提携した地域金融機関)や民営化後の郵貯が競合相手となる。それぞれの地方銀行が持ってきた強み弱みが全く変わってしまう。(図2)


論理的に抽出した戦略選択肢を重み付けするために、地方銀行の抱える財務・営業・組織特性等の経営課題をサンプル銀行の事例をベースに分析してみた。結果として出てくる戦略は現行営業地盤のシェア拡大、営業地域の拡大、自力でのコンピテンシー強化、大手他社との提携によるコンピテンシー補完などが経営判断として求められることであった。

また、市場選択のポイントとしてビジネスラインと営業地域で区分した結果、6つのパターンに整理できた。その上で、個別銀行が活動する市場を前提に、4つのパターンに分けて集中すべき経営資源を重み付けしたのが図3である。


図に表したように、我々が議論を通じて抽出した戦略パターンは、@広域総合金融化、A県域対象のリージョナル・バンキング化、B特定地域特化の中域リージョナル・バンキング化、Cメガバンク・グループなどとの緊密提携による地域特化の金融商品販売会社化の4パターンである。

4.戦略パターン別の事業目標とチャネル戦略

次に、本研究会が重要視する三大変化要因「金融改革プログラム」「メガバンク再編によるコングロマリット化」「郵便貯金の分社・民営化」等を意識しながら、4つの戦略パターンがフォーカスする事業目標とチャネル戦略を考えると、そのポイントは概ね次のようなものである。

◇広域総合金融:複数県を対象とし、優良顧客へのワンストップ・ビジネスを展開。他銀行との緊密提携によって先進事業・ニッチ事業に関しても規模を確保。顧客セグメントに対応したチャネル・ミックスの展開によりフルラインのチャネルを構築。

◇県域対象のリージョナル・バンキング:県域を対象として、あらゆる金融関連事業を展開し、地域経済発展に貢献する。主要地域の対面型ワンストップ店舗を中心に、小型店、代理店、ダイレクト・チャネルで域内全域をカバー。

◇特定地域特化の中域リージョナル・バンキング:県内特定地域に特化して、規模よりも顧客との密着により、安定した経営を追求。少数の総合店舗と金融アドバイス中心の多数の代理店による訪問・対面チャネルが中心。

◇メガ・グループなどとの緊密提携による地域特化の金融商品販売会社:地域経済に対して最先端の金融商品を全て提供。メガバンクとの緊密提携により規模のメリット、範囲のメリットともに確保。総合店舗、法人店舗、小型店舗、代理店、コンビニ提携、ダイレクト・チャネル等を有機的に展開。

今後、各地方銀行は金融改革プログラムの要請にも応えるべく、市場・顧客を「選択」し、経営資源を「集中」することになる。その際、地方銀行経営者は、行内ディスクロージャを通じて市場選択の理由を明確にし、経営資源の重点配分に関する行員理解をえつつ、各行員に求められる行動と成果を確認する必要があるだろう。単なる企画書を作成するだけに止まっては、自主的判断もチームオペレーションも期待できないからである。

一般に収益源の多様化は、資源の分散と否定されることが多いものの、経営リスクの分散効果を期待できるので、経営当事者としては安易な選択と集中に対して慎重にならざるをえないのが実状だろう。しかし、大手銀行に比して経営資源に限りがあり、市場規模も制約される地方銀行にとっては、他業態や他地銀との緊密な提携戦略を追求せざるをえないのが現実である。これらの判断は、一律に論ずることはできず、まさに個々の銀行の具体的状況における経営判断の問題である。従来から言われるように、選択した戦略パターンの実行においては、ビジネス・システムの全体最適化が不可欠であり、それなくしては戦略も空論で終わる。ビジネス・システムとは、経営の各種要素の総称であるが、具体的には経営理念・事業目標・商品・価格・チャネル・サービス・IT・組織・コンピテンシー・人事評価制度・組織文化などである。戦略というと、組織変更や新商品に偏重する傾向があるが、ビジネス・システム全体に対する総合的な施策が重要である。

5.ITの再生が必要

金融改革プログラムでもITの戦略的活用が謳われており、ITの重要性を否定する銀行経営者はいないだろう。しかしながら、経営の道具としてITを使いこなす経営トップが少ないことも事実である。ソフトウェアの役割と価値に対する理解不足や業務手順を自動化する効果だけという認識が強いように思える。投資ではなく不可避コストとして低コストであれば良いとする考えもあるようだ。ITの価値を評価しなおし、経営課題・戦略からITの導入・活用に至る一連のIT管理体制の整備が必要である。

投資であるからには投資効率の管理と見返り効果の最大化が重要である。IT部門には適切な費用・時間・労力の範囲で、より広範で充実したITサービスの開発・導入・利用支援が求められるが、それを利用する部門には期待効果実現の責務がある。当研究会でもCRMの導入効果を疑問とする意見が出たが、恐らくCRMの技術的機能の問題以前に利用態勢が未整備であることに原因があるのであろう。ネットバンキングも同様で、計算上のネット取引1件当りの処理コストは窓口処理より数段低コストではあるが、窓口コストを削減しなければ、単なる追加コストである。このような事例は数多いが、ITによる新サービス導入の際に、既存コストを削減する施策を効果的に組み合わせる必要性を示している。

一方で、業務基盤を支える基幹システムとしての勘定系システムは、コスト抑制、顧客サービスの向上、戦略的IT対応力の強化を目的として、共同化やアウトソーシング化が進められてきた。サービス産業としての銀行にとって、勘定系システムは業務処理手順、コンプラ・チェック、思考方法など長年に渡って培ってきた銀行の組織文化そのものである。このことを考えると、共同化やアウトソーシングの真の目的を実現するためには、ITガバナンスを確保しつつ、銀行自身の積極的な関与が必須である。ITを外注化している銀行においても、システム体系を再整理して、自行開発する業務と外注化する業務の切り分けが必要となる。場合によっては、新規業務を搭載する別系システムを開発する必要もあろう。

地方銀行にとって対応不可能なほど、数多くのIT課題が山積している。しかし、それはメガバンクも同様である。最も費用・時間・技術・労力を要するソフト開発の生産性を抜本的に解決しない限り、ITは経営にとって許容できない負担となるかもしれない。過去に様々な生産性ツールが試されたが成功事例はない。市販パッケージを活用できれば良いが、銀行以上に銀行業務に精通したソフト業者は存在しえない。また、共同化による費用分担も機能やスピードを犠牲にする場合がある。わが国が誇るメーカーの生産体制のように、プログラムやデータの共通部品化が実現できれば、大きく改善に向かうことが期待できる。その為には標準化が必要である。また、標準を公開すれば、数多くのITベンダーが参入可能となり、競争原理を促進することができる。標準化作業においては、自行内のノウハウや経験の開示が必要になるので、これも経営トップの積極的な関与が必要となる。

いずれにせよ、IT開発力を再編成しなくては、自主判断による戦略展開は不可能である。

6.まとめと提言―組織文化革命が前提条件−

地方銀行を取り巻く経営環境はかつてない規模とスピードで変化している。平成18年度期までに、行政当局も受容する水準での収益性・健全性の数値目標を達成することが、平成19年度以降の大競争に参加する条件となろう。これまでのビジネス・モデルや組織文化もゼロ・ベースで再構築(リストラクチャリング)する必要がある。その際には、競合相手が変わることに留意すべきである。これまで強みと思ってきたことが、弱みに変わる可能性もある。客観的・冷静な自行能力の再評価が必要である。

多くの地方銀行にとっては、サービス産業化の道が最も効果的で実現可能性が高い。長期的には、収益の大半を顧客や商品開発金融機関からの手数料収入に依存することになろう。そのためにも、バランスのとれた市場の選択と資源の集中が必要である。バランスの取り方は、各地方銀行の持つ営業地盤や財務力・営業力・商品開発力・IT力・人材・組織力などで判断することになる。

実際には本研究会が提案する4つの戦略パターンを原型にしたバリエーションが考えられよう。いずれにせよ、選択した戦略パターンに必要な施策を機能展開する際に、徹底した数値目標管理と実行責任・結果責任の明確化が必要となる。こうした機能展開的な経営手法は地方銀行に馴染まないとする意見もあろうが、残されたタイムスパンを考えて、激変緩和を図る時間的・財務的余裕の有無を判断すべきである。

組織的変革を推進するにあたって、組織文化・行職員モラール・個々人の技能など人間的側面が大きな制約要因となる可能性が高い。経営トップのリーダーシップが問われることになるが、行内ディスクローズも重要である。自行の目指す方向と具体的施策を期限・管理項目・管理基準と合わせて開示するのである。全行員のベクトルを一体化させるとともに、自主的行動を変革の推進力にすることが不可欠である。

変革推進にあたっては、これまでの経営計画の客観的総括から始めるべきではあるまいか。必要な施策は、既に立案されていることが多い。実現できなかった原因を明らかにすることで、施策の妥当性と実行可能性を確認できるだろう。また、変革は計画通りに進展しないことが一般的である。常に代替策を用意しながら、変化への対応を継続することが変革実現のポイントである。

平成18年度期までの2年間が、次の飛躍準備に残された時間である。この間における景気動向など外部要因の好転を期待していては、継続的な発展基盤を確保することはできない。地方銀行の持つ営業基盤、人材などの経営資源を見れば、大競争を勝ち抜くことは充分に可能である。要は「実行力」と「変化対応力」の問題であり、それが苦境を勝ち抜いてきた企業に共通する成功要因である。