日経金融 13/6/4

コールセンター(生保)

大手生保各社が相次いでコールセンターを拡充しているという記事である。
10年程前に、大手銀行が相次いでコールセンターを設立した。
当時はコールセンターと言うよりはテレフォンセンターと言われ、アウトバウンドの販売勧誘が主目的であった。その結果、CTIを使ったACC(オートコールセンター)が中心で、機能的には電話番号ダイヤリングの自動化であった。勧誘電話の効率は悪く、一方でインバウンド型の業務ニーズが具体化した。この結果、顧客情報との連動が不可欠となり、急遽顧客DB(MCIFを使うことが多い)を取り込んだインバウンド型のシステムを再構築することとなった。第一期のコールセンターの寿命は3年程度であった。株主が知ったら訴訟ものであろう。生保会社は、その数年遅れでコールセンター化を進めたが、その発展経路は銀行と同じである。学習能力を問うべきか、或いはベンダーの営業力を評価すべきか。
先日、ある地方銀行がコールセンターを2億円で構築したとの話を聞いてシート数を調べたら16だと言う。あまりの高額さに建物費用も入っているのかと聞いたら、IT費用だけだと言う。最近普及しだしたUnPBXを使えば4分の1程度の費用で出来るものを。
ユーザー側の無知はやむを得ないとして、ベンダー側の姿勢には怒りを覚えたものである。金融機関がコールセンター・システムを構築するときの問題点をニ,三考えてみたい。

  1. コールセンターの営業戦略目的は定まっているのか
    電話のみでなく、FAX,インターネット,eメール,郵便等のあらゆる非対面チャネルにより、どんな客層に、どのような営業目的で、どのような情報経路で、どんな情報を流通させるのかを決めておく必要がある。つまり、チャネル戦略そのものである。技術者はすぐにコール数,呼損率,最短長通話時間,同時着信呼数....と細かな技術要件を聞きたがり、挙句はACDだ,IVRだと不要かもしれない機能をつけたがる。無いよりは安心だし、他社も備えているので採用する。そして、使わない。

  2. システム全体の体系と関連システム間のデータ流通の仕掛は設計できているのか。
    CTIということから、通信技術を核とした設計をし易いようである。
    基幹系のミッション・クリティカルなシステムとDBを中心とするコンピューター技術も不可欠である。注意すべきは、通信技術者とコンピューター技術者は極論であるが人種が全く異なる。言葉も思考方法も、そしてユーザーとのコミュニケーション方法も。双方を理解したエンジニアを有するベンダーは希少である。ベンダー選定は、製品機能よりもベンダーのPMで判断した方が無難だろう。さもなくば、自社内にそれだけの人材を抱えているかである。

  3. 費用の妥当性は確認しているか
    よく、1シート200万円などと言われる。サーバー,PC,電話,ヘッドホン,PBX,LAN云々と並べるとすぐにその程度になってしまう。特に電話以下の通信系機器と関連ソフトの費用はコンピューター屋からすれば、唖然とする高額さである。過去、金融機関における通信系の管理責任・権限は総務部門等が行い、IT部門は要望を出すだけであった。通常、事務オフィスには既に出入りの通信設備業者が決まっており、ユーザー企業には選択権も価格折衝権もないような状況が多い。これでは、通信とコンピューティングの融合は難しくなる。CIOによる一元管理が出来ればその企業には構造改革の第一歩となるのではないか。