日経 13/4/21

郵便貯金の決済サービス

東証の子会社であるTCSが会員証券会社と郵貯経由で投資家の貯金口座をネットでつなぎ、証券取引の決済処理を行うという記事である。
証券会社側としては、数多くの銀行とその都度決済ネットワークを開発するよりも、ほぼ全個人を顧客としている郵貯とつないでしまえば強力な決済手段が入手できる。一方、振込手数料も30円程度と民間銀行の3分の1程度だという。結構な話である。
何故民間の銀行には出来ないのか。
単に郵貯がコストを無視しているだけなのか。
確かに全銀協が主張するように、郵貯は税金や預金保険料などの負担がないので、民間に比べてコスト的に有利な面があり、競争するのであれば同じ条件にすべきである。
しかし、米国の銀行決済制度との違いを見ると、わが国銀行界の決済システムにも問題のあることがわかる。米国決済システムの根幹をなしているACHというシステムは極めて低料金で、殆ど全ての金融機関が参加しており、カード会社などのノンバンクは勿論、一般事業会社にも利用を開放している。つまり、接続のためのプロトコルは全ての参加者の利便に配慮しつつ公開されている。あらゆる意味でオープンなのである。
それに対してわが国の場合は、限りなくクローズドなシステムと言える。
まずは業態があり、業態間の最少公約数的な機能を全銀システムに搭載している。その改善も構想がない故に遅々としており、また、銀行界の安全第一という産業文化によって顧客利便は二番目以降である。この産業文化が近い将来なくなるとは思えない。
個々の銀行の努力を期待しても、所詮最大規模の銀行でも純取引先数シェアはわが国全体の数パーセントである。
結局は多くの銀行と個別対応せざるを得ない。であれば、個人取引に限れば郵貯と組むのが当たり前である。顧客のためにも株主のためにも。
ネット化において、現在はNTTの回線料金の高さが批判されているが、やがてそれは解決される。すると、マーケットプレースが本格化するであろうが、その時に社会的批判を浴びるのは民間銀行の決済サービスの質と料金であろう。EC化の最大の阻害要因となるかも知れない。
ネット推進派としては郵貯の公社化よりも民営化を進めて、より自由なサービス開発を期待した方が早くて確実だろう。