(都銀)債権回収代行を本格化 日経 平成12年10月19日

サービサー

金融機関がサービサー会社を設立している。
これまでに、法務省から営業認可を受けた債権管理回収会社は41社となり、10月16日に「全国サービサー協会」も設立された。銀行系では、さくら,日債銀,住友,三和,八十二,みずほ系の六社が既に営業を開始し、近くあさひ銀行系も営業開始の予定である。この中では、さくら債権回収サービス社が要員100人強で最大規模であるが、あさひ銀行は200名以上の専門家により、個人有担保・無担保を含めた広範囲の業務を受託する計画だとされている。

背景には、中小企業金融安定化特別保証の代弁件数急増が見込まれ、個人向け融資の回収業務も量的拡大のみならず、制度変更による回収処理の複雑化が予想されていることがある。金融機関としては、回収業務の専門家不足を補いつつ、支店業務からの分離体制を構築することが目的の第一である。次いで、経験知識,情報,業務プロセス,ITシステムを高度に体系化出来れば、他の金融機関からの業務受託により、新たな収益源としても期待できる。
一方、今後、成長が見込まれる債権証券化においても、優秀なサービサーの存在は商品価値を高めることになる。

このような動きは、規制緩和,IT化の進展の結果、必然的に引き起こされる金融機能のアンバウンドリングの一貫と解釈できる。M&Aを通じた規模拡大・集中化による一時的な経費削減よりも、本質的な金融再編成であるとも言えよう。ただ、銀行の本来業務である融資の基幹機能を営業拠点から分離せざるを得ない状況には一抹の無念さと不安を感じもする。銀行の産業文化として、融資審査・実行や新規預金口座開設などのフロント業務を重視し、債権回収・事務集中などの後方業務を軽視してきた結果である。
化が進めば進む程、後方業務の相対的重要性が増すことに気がついている銀行経営者は少ないようだ。

サービサー業務を展開する時に大きな制約となるのが、専門家不足とITソリューション欠如である。広範囲の商品に関して、初期督促から、リスケ・賃差・任売・競売・償却等の一連の業務を法制度を踏まえて熟知している人材は希少である。関連するプログラム・パッケージも幾つかあるが、どれも過不足が著しく、組み合わせて使おうとすれば整合性を確保出来ず、結局は新規開発せざるをえない。 
サービサーを新規ビジネスとして考えると、これからの二年程度でコンピテンシーを確立し、自立成長するようなビジネス・モデルを作れるかが成功を左右するだろう。銀行の関連退社トップ人事を注視していれば、新会社の成功可能性は、おおよそ予想できそうだ。