それぞれ1千億円超える 4大金融グループのIT投資額(2000年度)


ニッキン 平成12年9月15日


巷間言われているように、各グループのIT投資額は、年間一千億円を越える。
また、ITの所管部門は、レガシー担当(既存システム)とeビジネス等の戦略分野担当に分けることで、IT投資の効率化を図るという。但し、国際的に見れば、邦銀の投資額はシティ・バンクの6千億円超などに比して、まだまだ少ないとされている。

邦銀のIT投資の問題点を幾つか挙げると、 

1 事務合理化投資の採算性は低い:邦銀はもともと極めて高い事務生産性を実現しており、今更IT投資によって実現できる経費削減は1%台のごく一部であり、米銀のような合理化余地は殆ど無い。
2 投資額の大半は既存システムの保守費か合併費用:これから、2,3年かけて合併のためのシステム統合が行われる。戦争真っ最中の大掃除か引越しを行うようなもので、グローバル競争には間に合わない。
3 投資額の大半を占める開発要員の絶対的不足:投資額の半分以上は開発費であろう。
仮に年間600億円の開発費を使い、一人月150万円の外注費として毎年4万人月の外注となる。頭数はいざ知らず、質の高い外注先が確保出来る筈はない。
言葉の制約もあり、海外の業者やソフトを使うのも難しい。
4 IT戦略の前提たる経営戦略が曖昧:マスコミや行政は気楽に選択と集中と言うが、巨大なドンブリの中で、特定のビジネス分野を選択するのは至難である。分社した上で適者生存を図るのは可能であろうが、合併して巨大化しつつ選択・集中するのは神業である。

極めて常識的であるが、IT投資額そのものに、戦略性はない。公共事業とは違う。
その効果を引き出すのは、ユーザー部門たる営業部門や資金運用部門である。
早急にITガバナンスの大政奉還かシビリアン・コントロールに変更するしかあるまい。 (島田)